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ふたばリカーレ > コラム
印刷用ページを表示する 掲載日:2025年2月3日更新

コラム

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第5回 「 うつ病について(3)」

 今回はお薬についてです。

 

 うつ病は軽症~重症まで症状には様々な程度があり、どの重症度でも同じように薬を使うわけではありません 1)。

 軽症の場合は、過去に薬が良く効いたエピソードがある、病気になってからの経過が長い、食事や睡眠が思うようにとれない、落ち着いて過ごす事ができない、患者さんが薬を希望する、と言った場合に薬を検討します。

 その一方で中等症~重症では、多くの場合投薬が検討されます。

 現在使用頻度が高いのは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)という種類の薬です。うつ病では脳内の主にセロトニンという神経伝達物質の働きが不調になっていると言われています。そこでセロトニンの回収(再取り込み)を抑えて、その働きを増強しようとして使われる薬です。

 このほかにも、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)などが開発され、以前よりも副作用を軽減して効果発現を期待できるように工夫がなされています 2)。

 服用して直ちに効果が出るわけではないことや、徐々に増量する必要があることから、充分な効果が得られる前に患者さんが「効かない」と自己判断して中断してしまうケースが起こりえます。ところが、中断でかえって深刻な反応を生じてしまうことがあることには注意が必要です。

 また、時々抗うつ薬の内服により、そわそわした感じや不眠、イライラが出て、うつの症状そのものとの区別が必要になることもあります。

 さらに、薬の効果は個人差があるほか、高齢者では薬の影響が出やすく、慎重な経過観察が必要となります。

 

 いずれにしても、薬の開始に当たっては、医師の説明をよく聞いて、納得してから開始すること、開始したら自己判断で増量や中断をしないことが大変重要です。

 医師との話には気おくれがすることがあると思いますが、その場合には、薬剤師さんや看護師さんなどに予め話をしてみても良いと思います。不安を我慢せず、いろいろと相談できるとよいですね。

 

  1. 日本うつ病学会ガイドライン
  2. 処方薬辞典 https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/

 

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