2018年2月定例会 討論 高橋秀樹議員
議員 | 高橋秀樹 |
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所属会派 | 民進党・県民連合 |
定例会 | 平成30年2月 |
質問等 | 討論 |
質問日 | 3月20日(火曜日) |
37番(高橋秀樹君)民進党・県民連合の高橋秀樹であります。民進党・県民連合を代表いたしまして、今議会に提出されました知事提出議案第1号「平成30年度福島県一般会計予算」につきまして、賛成の立場で意見を述べさせていただきます。
県は、復興・創生期間の3年目となる平成30年度当初予算について、一日も早い復興の実現と地方創生に向けたこれまでの取り組みの成果を県民の皆様に実感していただけるようさらに挑戦を続け、福島の未来を切り開くための復興・創生チャレンジ予算とし、総額1兆4,472億円を計上しましたが、直面する一つ一つの課題に果敢にチャレンジし、成果をしっかりと生み出すという意気込みが十分にあらわれた予算であると認識しております。
今回の予算の内容を詳しく見てみますと、まず、歳入については復興と地方創生に向けた、また多様で膨大な財政需要等に対応するために多額の財源不足が見込まれるなど、財源の確保は厳しいものであったと思われます。
このため、原子力災害等復興基金を初めとする各種基金の有効活用や徹底した事務事業の見直しに加え、知事が先頭に立って国に対して要望活動等を行うなど、あらゆる方策を講じて歳入の確保に取り組まれており、並々ならぬ努力、そして工夫の跡がうかがえるものであります。
複合災害に見舞われた本県には特有の課題が山積しており、中長期的な対応が不可欠であることから、引き続き財源の確保にしっかりと取り組むよう強く希望いたします。
続いて、歳出についてであります。
新年度は、復興・創生期間の折り返しに当たる重要な年であり、総合計画の11の重点プロジェクトを中心に重点的、優先的に予算配分がなされておりますが、これらの施策を戦略的かつ効果的に展開し、復興と地方創生の実現に向けた流れを確実なものにするよう期待するところであります。
それでは、具体的な施策について、重点プロジェクトの区分に従ってそれぞれ検証したいと思います。
まず、避難地域等復興加速化プロジェクト、生活再建支援プロジェクトに関する施策であります。避難地域の復興は、引き続き総力を挙げて取り組むべき課題であります。新年度は、避難地域の生活環境を整備するため、4月にふたば医療センターを開所するほか、介護人材の確保や施設等の運営支援、防犯対策など、安全・安心の確保に向けた取り組みがさらに進められます。
また、福島イノベーション・コースト構想については、福島ロボットテストフィールドの一部開所を控えるなど、いよいよ構想を具体化していく段階に入りました。
このため、庁内の推進体制の強化に加え、昨年7月に設立された推進機構を中心に、新産業の創出や集積、人材育成に向けた取り組みを加速し、地元の事業、なりわいの再生にもつながっていくほか、ことし一部営業を再開するJヴィレッジの利用促進、復興祈念公園やアーカイブ拠点施設の整備も着実に進めることとしております。それぞれの事業の実効性を高めていくよう期待するところであります。
次に、環境回復プロジェクトに関する施策であります。
除染については住宅除染が終了し、除去土壌の輸送を本格化させる次なるステージに移行したところであり、そのための予算がしっかりと確保されております。市町村と一体となって円滑な進捗に努めるよう、強く希望いたします。
また、イノシシ等の鳥獣被害対策については、市町村や関係団体等と連携しながら、直接捕獲などに加え、将来の対策を担う人材の育成に取り組むこととしており、着実に成果を上げるよう期待しております。
次に、心身の健康を守るプロジェクトに関する施策であります。
健康長寿を推進することは、本県の最重要課題であります。
このため、県民の皆さん一人一人に健康への理解を深めていただくふくしま健民検定の実施や、従業員の健康づくりに取り組む優良事業所の認定や表彰制度の創設、さらには減塩や野菜の摂取を促す地域密着型のイベントの開催など、家庭、職場、地域などさまざまな場面における複合的な対策を講じることとしており、全国に誇れる健康長寿ふくしまの実現に向けた実効のある取り組みが期待されるところであります。
次に、子ども・若者育成プロジェクトに関する施策であります。
教育の充実は、子供たちが夢や希望を持って力強く羽ばたいていくために極めて重要であります。
新年度は、学力を着実に伸ばす取り組みや英語教育の強化のほか、福島イノベーション・コースト構想を牽引するトップリーダーや農業、工業を担う人材の育成に加え、浜通りはもとより、中通りや会津地方の高校においても最先端技術に触れる取り組みなど、未来に向かって挑戦する人材を育てる事業の充実が図られております。
これらの施策に加え、子供たちが生まれ育った環境に左右されることのないよう、保護者への各種支援制度の周知などに丁寧に取り組んでいただきたいと思います。
次に、人口減少・高齢化対策プロジェクトに関する施策であります。
復興と並ぶ本県の最重要課題である人口減少対策の推進に向け、今年度を上回る予算が計上されるところであり、知事の強い意気込みを感じるものであります。
具体的には妊娠から子育てまで切れ目のない支援を行うための身近な相談窓口の設置促進や、発達や障がい等の相談窓口のさらなる拡充など、相談体制の充実が講じられております。
また、3歳未満を対象とする保育施設や企業内保育所の整備を支援するほか、保育人材の確保を推進していくなど、安心して子育てができる環境の整備にも力が注がれております。これにより、子育てしやすい福島の実現に向けた実効性が高められるものと考えております。
さらに、首都圏における移住相談体制の充実や会津地域における二次交通強化対策などにより、定住・二地域居住の推進や交流人口の拡大も期待されます。福島ならではの地方創生の実現に向け、市町村を初めとするさまざまな主体と一体となってこれらの施策を推し進めることを強く希望いたします。
次に、農林水産業再生プロジェクト、中小企業等復興プロジェクト、そして新産業創造プロジェクトに関する施策であります。
本県の復興を力強く進めるためには、産業の振興が欠かせません。農林水産業については、GAP認証取得の拡大に加え、農業法人や企業等が連携した新たな農業ビジネスへの参入を支援するほか、第三者認証制度の水産エコラベルの取得支援などを通して、水産業の競争力の強化を図ることとしております。
これらの取り組みを初め生産から流通、販売までの総合的な対策を実施することにより、本県農林水産物の市場での優位性が高められるものと期待をしておるところであります。
商工業については、中小企業等の経営基盤の強化に向け、相談体制の充実や人材育成・確保を支援するほか、ものづくりにおいて知的財産の活用を促すなど、施策に積極的に取り組むこととしております。
さらに、再生可能エネルギーや医薬品、医療機器、ロボット、航空宇宙関連産業を初め新たな時代をリードする新産業の創出や集積、地元企業の参入支援などにも力が注がれております。
このように、新年度においても基幹産業の振興と新産業の創出に向けた事業がしっかりと展開されることにより、本県全体の復興・創生がさらに前進するものと期待しているところであります。
次に、風評・風化対策プロジェクトに関する施策であります。
風評払拭と風化防止は特効薬のない課題でありますが、福島の持つ魅力を国内外の皆さんにしっかりと伝わるよう発信を続けることが重要であります。
新年度は、発信力の高い企業との連携や市町村とともに首都圏の大規模商業施設等におけるプロモーションを実施するなど、ターゲットを意識した発信に取り組むこととしております。
また、もとより高品質である本県の農林水産物や加工品、工業製品などについて、パッケージやネーミングなどを磨き上げ、イメージを一新していく取り組みにより、新たな市場を開拓していくことが期待されております。
さらに、全国植樹祭や太平洋・島サミット、世界水族館会議の開催においては、復興に向けた福島の姿と御支援への感謝の気持ちを世界に向け発信する機会となることから、しっかりと準備を進めるよう求めます。
これらの取り組みに一つ一つ丁寧に熱意を持って挑戦を続けることにより、必ずや風評払拭と風化防止に結びついていくものと考えます。
最後に、復興まちづくり・交流ネットワーク基盤強化プロジェクトに関する施策であります。
公共インフラの整備は、避難地域の復興や帰還を進めるとともに、地域を活性化させる必要不可欠なものであります。このため、ふくしま復興再生道路を初めとする道路網や物流を支える小名浜港、相馬港など、基盤整備が進められているところであります。
JR只見線の復旧工事や利活用の促進、開港25周年を迎える福島空港の路線拡充、国内外からのチャーター便の運航促進に向けた取り組みなどにより、引き続き本県の基盤の強化を着実に進めるよう求めるものであります。
以上のとおり知事提出議案第1号「平成30年度福島県一般会計予算」につきましては、復興と地方創生への着実な歩みを県民の皆様に実感していただける実効性のある予算として、我が民進党・県民連合としては大いに評価できる内容であり、当然に賛成すべきであると思っております。
議員各位の御賛同を賜りますことをお願い申し上げまして、私の討論を終わらせていただきます。ありがとうございました。