2018年6月定例会 討論 吉田英策議員
議員 | 吉田英策 |
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所属会派 (質問日現在) | 日本共産党 |
定例会 | 平成30年6月 |
質問等 | 討論 |
質問日 | 7月6日(金曜日) |
13番(吉田英策君)日本共産党の吉田英策です。日本共産党県議団を代表 して討論を行います。
まず、知事提出議案第15号、第16号、第30号、第34号について反対の立場で意見を述べます。
議案第15号、第16号「県の行う建設事業等に対する市町村の負担について」です。
地方財政法及びその他の法律に基づき、県が行う公共事業等に要する経費の一部を市町村に負担させるものですが、これはできるという規定であり、しなければならないというものではありません。大震災と原発事故からの復興の途上にあり、本来であれば懸命に取り組む市町村を財政面からも支援すべきであり、市町村に負担を求めるべきではありません。
次に、議案第30号「訴えの提起について」です。
県営住宅家賃滞納者に対し、住宅の明け渡しと滞納家賃の支払いを求めるために訴えを起こすものです。この世帯は、親子4人の居住実態があり、訴えは強制的な退去につながりかねず、人道的にも問題があるものです。よって、議案には反対です。
議案第34号「専決処分の報告及びその承認について」の一部、軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を延長することについてです。
2017年度の改正で、米軍等行動関連措置法、重要影響事態法、国際平和支援法及び船舶検査活動法に基づく後方支援活動において、自衛隊が免税軽油を外国の軍隊等に提供するときに課税を免除する特例措置を2021年3月31日まで3年間延長するものです。安保法制、戦争法に基づく海外での自衛隊の活動の具体化であり、賛成できません。
次に、議員提出議案及び請願について意見を述べます。
まず、議案第202号「憲法第9条を改正しないことを求める意見書」についてです。
安倍政権は、今国会で憲法改正の手続を定める国民投票法改正案の趣旨説明を行い、秋に想定される臨時国会で成立を目指すと言われ、憲法第九条改定に前のめりの姿勢をあらわにしています。北朝鮮の脅威を口実に憲法九条を改定し、自衛隊の海外での武力行使に道を開こうというのです。
米朝首脳会談が行われ、北東アジアの平和を外交、対話によって切り開き、戦争にしないという国際情勢の大きな変化を迎えています。これこそが日本の憲法9条の精神と同じ流れです。
そうした中、政府はさらに北朝鮮の脅威をあおり、1基1千億円とも言われる地上配備型迎撃システムイージス・アショアを秋田県、山口県に2基配備しようとしています。配備予定の秋田県では、強力な電磁波と、テロの標的になりかねないと住民から反対の声が上がり、佐竹知事や自民党も含め、県議会も配備に疑問を呈しているのです。政府は、住民を危機にさらす配備計画は撤回すべきです。
今、「憲法9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」は5月時点で1,350万人を超え、「憲法9条を守れ」の声は広がっています。世界が外交努力や対話を進めている中、我が国の外交のあり方が問われています。北朝鮮の脅威を理由にした軍拡や憲法9条改定は根拠を失っており、今こそ憲法9条を生かした外交、安全保障の構築が必要です。よって、本意見書は可決、関連する請願161号は採択すべきです。
次に、議案第203号「核兵器禁止条約の署名・批准を求める意見書」についてです。
8月6日、広島、9日、長崎に原子爆弾が投下されてから74回目の夏を迎えます。2017年には歴史的な核兵器禁止条約が国連で採択されました。条約は、核兵器の開発、生産、実験、製造、取得、保有、貯蔵、使用、威嚇を禁止し、被爆者、核実験被害者の支援を明記しています。条約の採択から1年、核の惨害を幾度も経験した日本が本条約に署名、批准しないことは許されません。
北朝鮮の核をめぐり、南北、米朝の首脳会談が実現し、核のない朝鮮半島を実現する目標が確認されました。非核平和の北東アジアの実現にとって大きな歴史的チャンスが開かれました。こうした中で日本が核兵器禁止条約に背を向けることは、世界から取り残されるとの批判の声が上がっているのです。唯一の戦争被爆国として、核兵器の全面禁止のために日本が役割を果たすべきです。よって、本意見書は可決、関連する請願164号は採択すべきです。
次に、議案第204号「消費税率10%への引上げ中止を求める意見書」についてです。
安倍政権は、来年度予算編成に向け、基本方針に来年10月からの消費税の10%への引き上げを明記しました。消費税導入から28年、国民から集めた消費税収総額は349兆円、一方同時期の法人3税の減税総額は280兆円となり、消費税収の8割は法人税減収の穴埋めに使われているのです。社会保障充実のためという消費税導入の理由は偽りであることは明らかです。2014年の8%への引き上げの際は、家計と経済に大きな影響を与えました。政府も経済への影響から引き上げを先延ばししてきたものです。
日本共産党は、格差と貧困を正す経済の改革として、税金の集め方、使い方を提案しています。能力に応じて負担する公正公平な税制で大企業や富裕層に応分の負担を求める。タックスヘイブンによる税逃れを許さない。軍事費や大型開発事業を縮小させれば、社会保障、教育、子育て支援などの予算をふやすことはできます。よって、この意見書は可決すべきです。関連する請願165号は採択すべきです。
次に、議案第216号「主要農作物種子法の復活を求める意見書」についてです。
ことし3月で主要農作物種子法が廃止されました。種子法は国や都道府県の種子に対する役割を明確にし、地域に合った優良な品種を多く開発し、安価に販売されるなど、農家の生産販売に大きな役割を果たしてきました。地域に適した品種の維持は行政の管理が不可欠と、新潟、埼玉、兵庫は条例を制定しています。
本県は要綱を制定しており、全ての都道府県は従来どおりの種子事業を続ける方針と言います。しかし、当面は交付税措置があるとはいえ、今後も継続する保証はありません。国会では野党5党と1会派が復活法案を共同提出しています。よって、本意見書及び同趣旨の議案第215号は可決すべきです。関連する請願169号は採択すべきです。
次に、議案第217号「地域材の利用拡大を求める意見書」についてです。
本意見書は、森林経営管理法を前提に森林の経営管理を集積、集約化するとともに、木材産業の競争力強化及び木材利用拡大のため施設整備を求めるものです。
森林経営管理法は、市町村が集積計画に不同意の所有者からも経営権を取り上げる仕組みになっていること、また利益の出ない森林を市町村が管理することになり、過大な負担になるおそれがあると指摘されています。国会での審議過程で重大な問題が次々明らかになったことで、14項目もの附帯決議がつく異例の事態になりました。森林の大量伐採につながり、持続可能な森林存続も危うくされかねないとの懸念があることから、賛成はできません。
次に、継続中の議員提出議案第168号、第170号、第173号、第174号について、賛成の立場で意見を述べます。
まず、継続議案第168号「東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に反対する意見書」についてです。
日本で初めて原発の過酷事故を経験し、その恐怖や避難の厳しさ、復興の大変さを体験したのが福島県民です。だからこそ、原発廃炉と原発に頼らない社会の実現の先頭に立つことが福島県には求められているのです。それが多くの県民の願いです。
しかし、そうした県民の願いとは裏腹に、安倍政権のもとで原発の再稼働が進められています。3年ごとに改定されるエネルギー基本計画では、現在2%の原発による発電比率は22%まで引き上げる計画です。
東京電力は、青森県東通村での原発建設再開のための本格的な地質調査を開始すると発表しました。また、東海第二原発の運転再開の支援までを表明しています。
関西電力大飯原発3、4号機に対する運転差しとめ訴訟で名古屋高裁は東京電力福島第一原発事故を教訓に運転差しとめを命じた一審判決を覆す不当とも言える判決を言い渡しました。原発事故で運転がとまった原発は、今現在9基が認可され、再稼働されようとしています。こうした中、国会では野党4党が共同して、再稼働はさせない、動いているものはとめる、原発ゼロを実現するとした原発ゼロ法案を提出しています。
柏崎刈羽原発については、規制委員会が安全審査に合格を出しましたが、地盤の液状化が大きな問題になっており、地元では「豆腐の上に立っている原発」と言われるほどです。福島第二原発の廃炉の方向が表明された今、東京電力は柏崎刈羽原発の再稼働、東通原発の建設再開、東海第二原発の支援はやめ、福島第一原発と福島第二原発の廃炉に集中すべきです。
只見町区長会連絡協議会は、2014年再稼働反対の要望書を新潟県知事に提出しています。福島県境から53キロメートルしかなく、過酷事故となれば福島県民に甚大な被害を及ぼすことになります。県民の安全を考えれば、再稼働中止を求めることは当然です。意見書は可決すべきであり、関連する請願135号は採択すべきです。
継続議案第170号「保育料負担軽減、保育士の処遇改善及び認可保育所増設のための制度改善及び財源確保を求める意見書」についてです。
国の責任で安定的な財源を確保し、市町村と連携した認可保育所の整備、待機児童の解消、給与水準の低さから不足している保育士の処遇改善、実態に合わない配置基準の見直しなど保育の質向上のための対策をとることは喫緊の課題です。よって、同意見書は可決、関連する継続請願137号は採択すべきです。
次に、継続議案第173号「高等学校等就学支援金制度の延長並びに返済猶予や減免制度のある奨学金制度を整備・拡充することを求める意見書」についてです。
この意見書は、国に対し高校生就学支援基金の延長を求めるとともに、その活用による返済猶予、減免制度を持つ奨学金制度を整備拡充することを求めるものです。全ての子供たちがその能力に応じて教育を受けられる教育の機会均等の実現が重要なことは言うまでもありません。よって、意見書は可決、関連する継続請願139号は採択すべきです。
次に、継続議案第174号「義務教育諸学校教職員給与費の義務教育費国庫負担を2分の1に復元するとともに制度の充実を求める意見書」についてです。
2006年度から義務教育諸学校教職員の給与費に係る国庫負担金が2分の1から3分の1に減額されました。地方の裁量権の拡大が理由と言われますが、国による教育の機会均等、教育水準の維持向上、教育条件整備への責任放棄と言わざるを得ません。国は教育予算を増額し、教育に対する責任を果たすべきです。よって、意見書は可決すべきであり、関連する継続請願140号は採択すべきです。
県民の願いを県政に反映し、県民目線の判断が求められることを訴え、私の討論を終わります。