福島県立南会津病院の皆様へ
拝啓
葉桜のみぎり、貴院におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
この度はご多忙のところ、1か月にわたる貴院での研修期間を設けていただき誠にありがとうございました。体調不良により貴院で研修できた日数は少なくなってしまいましたが、熱心な指導医の先生方と温かい病院スタッフ、患者様に支えられ、とても充実した時間を過ごさせていただきました。
私が勤務している病院は郡山市にある二次救急病院であり診療科も豊富で、周辺には同様に二次救急病院や三次救急病院があります。そのような医療資源に恵まれた環境で1年間の研修生活を行ってきたため、南会津地域で唯一の二次医療機関である貴院での研修を楽しみにしておりました。
実際に経験させていただくと、限られた医療スタッフ、専門医の先生方で医療を進めていかなくてはいけない状況であり、専門外の領域に関しても管理できる範囲で治療をしていたり、院内で対応できない疾患に関しては三次医療機関に転院させる判断を迫られたりと地域医療の過酷さを感じることができました。個人的に夜間帯に2件、脳出血の患者様の転院搬送に付き添ったことは南会津病院で診断をつけて、高度医療センターにつなげる病院としての役割や搬送時間に1時間以上かかってしまう地理的な問題点を肌身で感じることができ印象に残っています。また限られた医療資源の中で診療を行うために問診や身体診察、様々な診療科の知識の重要性を再確認することができました。
入院患者は高齢者で入院を機に廃用が進んでしまう方が多く、疾患の治療介入だけではなく、退院後を見据えた調整を行う必要がありました。また、普段研修することのない訪問診療や田島ホームでの診療を経験させていただき、患者様が退院後どのような環境下で暮らし、介護に携わっているのはどういった方なのかといった情報の大切さについて学び、病院を退院後のアセスメントの重要性について考えることができました。終末期の患者様と長時間お話しする機会を設けていただいたことは今後の医師人生で忘れられない経験になりました。
長期間休んでしまったため経験しきれなかったことは多々あり残念でなりませんが、スタッフの皆様のおかげで充実した研修をすることができました。スタッフの方々や患者様、町の方々は気さくに話しかけていただける方が多く南会津地域特有の魅力も感じることができました。今後も何かのご縁でお世話になる機会がございましたら、何卒よろしくお願い申し上げます。
最後に皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
令和6年4月26日
敬具
福島県立南会津病院の皆様
拝啓
薫風の候、皆様におかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
5月の1カ月間、貴院で研修させていただきました、会津中央病院初期研修医の○○と申します。この度は御多忙の中、丁寧なご指導をしていただき誠にありがとうございました。
今回の地域研修では病棟や外来、訪問診療など様々な見学をさせていただきましたが、特に感じたことは2つあります。
1つ目は南会津地域の広大さです。市内の会津中央病院で外来などを担当する際に「家はどちらの方ですか、病院まで遠いですか」となるべく質問するようにしていて、「南会津」と回答されると「(土地勘がないながらも)遠いですね」と言って検査の閾値を少し下げたりしていました。
しかし南会津とーロに言っても田島辺りなら可愛いもので、更に奥へ進めば特に冬は市内まで2時間はかかり、南会津病院受診でさえ1時間はかかるということに衝撃を覚えました。
この1カ月市内から自動車で通勤しましたが、高齢な患者さんがこの距離を運転するのは大変だろうと改めて感じました。
2つ目は高齢化です。会津中央病院でも患者の年齢層の高さに驚いていましたが、南会津病院はさらに高齢な印象、というより若者が少ないと感じました。
医療というとどのように病気を治療するかに重きを置いてしまいますが、高齢者ではエビデンスに基づいた治療でも太刀打ちできない状況が何度もありました。
そうなった際に、治療介入をどこまでやるか、退院できたとして退院後は誰と・どこで・どのように過ごせるかを家族と相談して決めていく過程を間近でみることができたのはとても勉強になりました。
先生方をはじめ、看護師の皆様、放射線技師の皆様、薬剤師の皆様、事務の皆様など、南会津病院に携わるすべてのスタッフの方々のおかげで充実した研修をすることができました。
最期になりますが、皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
敬具
令和6年5月31日
福島県立南会津病院の皆様
拝啓
入梅の候、皆様におかれましては、ますますご清祥のことと心よりお慶び申し上げます。
5月に貴院で研修させていただきました、初期研修医の○○と申します。
お忙しい中、1か月間丁寧なご指導をしていただき、誠にありがとうございました。
南会津病院での研修では、疾患に対する治療だけでなく、退院後の生活まで考えた診療を学ぶことができました。
介護保険制度について、学生時代の座学で多少勉強していましたが、南会津病院や田島ホームでの研修を通して、再度学ぶことができました。
特に、主治医意見書はこれまで一度も作成したことがなかった書類であり、先生と一緒に作成する機会をいただき、大変勉強になりました。
要支援・要介護のしくみも学び直すことができ、訪問診療に同行することで、実感をもってその必要性を学ぶことができました。
訪問診療では、患者さんやその後家族との関わり方を拝見し、知識だけでなく人間としての総合力を身に着ける必要があると感じました。
自宅で生活する患者さんは、訪問看護や行政など、様々な方々の尽力に支えられており、チーム医療の重要性を再度認識することができました。
退院後の生活を考える中で、医学的なproblem に対するPOM(Problem Oriented Medicine)だけでなく、退院後の生活をどうするのか、自宅に帰るのか、自宅に帰るのなら入院によって低下したADLのために誰が介護をするのかなど、GOM(GoalOriented Medicine)を実践されている様子を学ぶことができました。
佐竹秀一先生と我々研修医2人で、半日ほど南会津郡を車で回る機会もいただきました。私は福島に縁もゆかりもなく、初期研修で初めてきましたので、南会津地域の広大さを実感できる機会となりました。実際に車で回ってみることによって、高齢の方が受診するまでの困難さを感じました。
桧枝岐の診療所の先生とお話しする機会や、只見診療所の医師が退職される話なども伺い、地域医療を維持する必要性とその困難さを深く感じました。
私が研修させていただいた1か月間は、院内でCOVID-19陽性者が多数出たため、約2週間弱、新規入院を停止していた時期でした。その期間、入院が必要と思われる重症症例はすべて会津若松市まで搬送されており、救急隊や地域住民の方も大変困っておられ、感染症の流行において、地域の病院の入院がストップする怖さを感じました。
この1か月間の南会津病院での研修は、今後私が医師として働いていく上で大変重要なことを学ぶ機会となりました。南会津病院で地域研修をしてよかったと思っております。
先生方をはじめ、南会津病院で働くすべてのスタッフの方々のおかげで、1か月間大変充実した研修をすることができました。心より感謝申し上げます。
最後になりますが、皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
敬具
令和6年5月31日
南会津病院のみなさま
拝啓
梅雨明けが待ち遠しい今日この頃となりました。皆様におかれましては、ますますご清祥のことと心よりお慶び申し上げます。研修医の○○と申します。この度はお忙しい中、1ヶ月間に渡る研修のご指導をいただけましたこと、御礼申し上げます。
私自身、会津若松で生まれ育ち、更に祖先を辿れば本家は下郷町にあるという、比較的会津ネイティブな背景を持っております。しかし、南会津地域には数度足を運んだことはあるものの、地域特性の理解とまでは至っておりませんでした。
インパクトが強かったこととしては、広大な面積および自然が豊かであるがゆえ、自治体内でも医療へのアクセスにかなり差があることです。
訪問診療では往復1時間を超える範囲までをカバーし、限られた時間と人員のなかで患者さんを取り残さないようにする取り組みに感銘を受けました。加えて、重症疾患を会津若松まで搬送するか否かのトリアージの重要性を実感いたしました。
この一ヶ月、河東の自宅から通勤したことによる距離感はもとより、意識状態が悪く、呼吸状態も安定しなかったため挿管の上転院搬送を行った症例では大変道のりが長く感じたことを覚えております。
高齢者が疾病により自立した生活ができなくなった場合、誰が介護をするのか、というのはどの地域でも共通の課題です。この1ヶ月間で数名の退院を経験しましたが、家族との話し合いの中で、様々な反応が見られとても興味深いものでした。
通院がネックになる事案もあり、それらに対して訪問診療の需要の高さを肌で感じることができました。一方、先述のとおり道のりが長く、家屋の密度も低いため、効率も重視しなければなりません。
将来地域医療を志すうえで、医学知識だけでなく、社会的な側面も学んでいこうと思います。
南会津地域の魅力にも触れることができました。豊かな自然はさることながら、食材が豊富であり、飲食店のレベルが高いこと、街をあげて日本酒での乾杯を推奨し、酒蔵も共同で日本酒文化を盛り上げていることなど、素敵な食文化を楽しむことができました。(南会津の日本酒で乾杯! 2024にも参加させていただきました。友人が抽選で国権を当てていました。)行ってみたかった温泉にも浸かることができ、とても満足しております。
この1ヶ月、皆様のご指導のおかげで大変充実した日々を遅らせていただきました。本当にありがとうございました。
暑さが厳しい季節になってまいります。お体を大切になさってお過ごしください。
敬具
令和6年6月28日
福島県立南会津病院の皆様
拝啓
大暑の候、皆さまにおかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
7月に貴院で研修させていただきました、会津医療センター初期研修医の○○と申します。
お忙しい中、丁寧なご指導をしていただき誠にありがとうございました。
もとより地域医療に関心があり貴院での研修を楽しみにしていました。実際に1ヶ月間地域医療の現場を経験して、地域医療の面白さや課題に触れることができました。
高齢化が進んでいる南会津郡では高齢独居や老々介護というのは珍しいことではなく、そうした人たちが病気や怪我で入院することになった場合、その人の治療のことだけを考えるのではなく、独居であれば退院後に通院できるのか、ADLが低下した場合どういうサービスに介入してもらうとよいか、また、老々介護で介護者が入院した場合、その間の要介護者の介護はどうするのか、といったように患者の家族構成や生活環境のことを考えて提案や介入をすることの必要性を知りました。
独居に限らず家族と同居している場合でも、入院中のサポートや通院時に送迎をできる人がいるのかといったことを考慮してプランを立てる必要がありました。
治療そのものについても、疾患に対して標準治療を単純に選ぶのではなく、その治療を選択した場合にその人の今後の生活は成り立つのかどうかを考慮して治療を考える必要性がありました。そのため、治療や経過について本人や家族と情報を共有することの重要性も強く感じました。
医学的なプロブレムが解決したとしても全体的なADLが低下したりと、入院前と比べて状態が下り坂に変化することもあります。疾患の治療にだけ目を向けがちでしたが、南会津病院で先生方と一緒に臨床に取り組む中で、そうした変化や今後について家族にこまめに連絡をしたり、方向性を共有したり確認することの大切さを実感し、入院中の患者の変化を目にできない家族の気持ちを考えることの重要性に改めて気づかされました。
このようなことは地域医療だから重要というわけではなく、医療に従事する上ではどこであっても同じように重要だと思いますが、この広大な南会津地域で「移動や生活を含めて人を診ること」の重要性を皆様が伝えてくださったおかげで、より一層深く感じることができました。
南会津病院で働くすべての方々のおかげで、大変充実した研修生活を送ることができました。いつも温かくご指導いただき、励ましの言葉をかけてくださり、本当にありがとうございました。心より感謝申し上げます。
最後になりますが、皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
敬具
令和6年7月31日
御礼のご挨拶
福島県立南会津病院の皆様
拝啓
本格的な暑さを迎えましたが、皆様ご壮健でお過ごしのことと存じます。
自治医科大学附属病院初期臨床研修医の○○と申します。この度はご多忙の折、診療の合間を縫って丁寧なご指導をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。
大学病院での研修では、自分がファーストタッチで診ることがほぼなく、そもそも来院される患者様も1次や2次から紹介されてくるような複雑な病歴をもつ方がほとんどでした。
そのような中で貴院での研修を始めた頃は、何から手をつければいいのか、どのような検査を行えばいいのか、一つ一つ考えるのにも時間がかかってしまい、先生方やスタッフの方々には多大なご迷惑をおかけしました。しかし、症例経験を重ねるごとに手厚いフィードバックを受け、少しずつ診療の基本的な考え方や手技が身についてきたように感じます。
まだまだ学ぶべき事が山のようにありますが、貴院での経験を糧に今後も研鑽に励んで参ります。
今回の研修で最も印象的だったのは、先生方が患者様の住む地域や環境、家族構成などの社会的背景も加味した上で診療していく姿でした。広大な面積を誇る南会津郡唯一の病院という特性上、片道1時間以上かけて来られる患者様も多く、帰宅後の生活を考慮して方針決定や介護調整をする重要性を学びました。
夜間や救急症例においては、患者様を若松などのさらに大きな病院に紹介するか否かを迅速に判断する必要があり、その中で社会的背景にまで目を向けることは困難を極めました。このような経験を通して、地域医療においては患者様を医療だけではなく包括的にサポートしていくことがより大切であり、そこには難しさと同時に達成感や楽しさがあると感じました。
研修中には腹部エコー・心エコー・内視鏡・外傷の縫合・胸腔ドレーン挿入・イレウス管挿入・脊椎麻酔・消化器や整形の手術など、手技の機会も数多く与えていただきました。心臓血管外科への道を選んだ私にとって、どれも非常に有意義な経験でした。
また、私自身昨年登山で檜枝岐村を訪れたことはありましたが、南会津町に来るのは今回が初めてでした。阿賀川の美しい情景に癒され、美味しいクラフトビールを頂き、7月には会津田島祇園祭も見物でき、南会津町の夏の魅力を存分に味わうことができました。
最後になりますが、院内関係者の皆様、共に研修した先生方に支えられ、2ヶ月の研修を終えることができました。貴院で学んだことを胸に、残りの研修期間も無駄にしないよう過ごします。ありがとうございました。
時節柄、ご自愛専ーにご奨励ください。
敬具
令和6年8月2日
御礼のご挨拶
県立南会津病院の皆様
拝啓
だんだんと春らしい陽ざしを感じるこの頃、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
さて、2024年3月11日から3月15日までの1週間、貴院で実習をさせていただきました福島県立医科大学医学部5年の○○と申します。1週間という短い間ではございましたが貴院での実習を通して大変貴重な経験をさせていただき誠に感謝しております。
救急・内科・小児科の外来見学や検査の見学、病棟看護実習では、お忙しい中、丁寧に教えていただき、大学での実習よりも非常に濃い勉強の時間を過ごすことができました。
佐竹先生はじめ牧先生、中津先生、二見先生、根橋先生、隼輔先生、看護師の方々大変お世話に
なりました。ありがとうございました。
消防実習ではBLSの一連の流れを体験し改めて学び直してみて、普段救急隊の方々がどのようなところに気を配って情報を集めているのかを意識することができました。隊員の方々が医師に求めていることを直接聞けたことも貴重な経験となりました。私も円滑なコミュニケーションが取れるようにやり取りを大事にできる医師になりたいと思います。
訪問看護は思い入れのある金山町に伺ったこともあり大変印象に残りました。冬の間の地域の方々の生活を間近でみることができました。災害で停電した場合などに備えて地域の方々でバッグバルブマスクを使用できるようにしていることや、人工呼吸器をはじめとした医療機器が停電後も使えるように補助電源を準備していることなどを教えていただき、患者さんが在宅で過ごすことのできるように地域で体制を整える努力がされてきたことを知りました。訪問看護と訪問診療に同行したことで、医師がその患者さんの抱える背景まで汲み取って、地域にスムーズに移行できるサポートをする重要性を感じましたし、地域に根ざした医療がどうあるべきか、大学での講義以上に実際に患者さんやその周りの家族の方から学ぶことができたと思っております。受け入れてくださった患者さんとそのご家族の方々をはじめ、先生、看護師の方々、本当にありがとうございました。
地域の方々と関わって学んだことを忘れずに、これからの実習、そしてそれに続く医師国家試験を乗り越えて、医師になった際に必ず活かせるようにしたいと思います。改めて感謝申し上げますとともに、皆様にまたお会いできる日を楽しみにしております。
敬具
2024年3月15日
御礼のご挨拶
県立南会津病院の皆様
拝啓
初秋の候、皆様におかれましてはますますのご健勝のこととお喜び申し上げます。
2023年10月2日から10月6日迄の1週間、貴院にて研修をさせていただきました、福島県立医科大学医学部5年の○○と申します。1週間という短い間でしたが、貴重な経験をさせていただき、心より御礼申し上げます。
先生方本当にお忙しい中で1学生のためにお時間を割いてご指導くださり、誠にありがとうございます。最も印象に残ったのは消防署の実習で救急隊の皆様の気持ちがとても朗らだったことです。大学近辺での消防署では、「搬送先の病院側を怒らせないように」というテイクホームメッセージを必ずただきましたが、こちらでは将来の連携に対する期待をされている様子でした。一重に医療機関と救急隊の間の信頼関係が強いが故なのであろうと感じました。ただ、医療のリソースが少ない中でその信頼関係を築くことは非常に困難な過去があったのだろうと推察します。その中でも日頃からのコミュニケーションやちょっとした挨拶が大事であることが従業員の皆様のお仕事での様子から伺えました。私も
将来少なからず救急対応をすることがあると思いますが、自分では見えない患者さんの初期対応をされている救急隊の皆様との連携を大事にしていきたいと思いました。
比較的研修医の先生方と一緒に行動することが多かった1週間でしたが、右も左も分からない私に丁寧に教えていただきました。国家試験を前にして、かつ研修に入る前である身分として一番知りたい情報や知識、手技を学ぶことができました。佐竹先生が最後の講義でおっしゃってくださった医学教育の重要性が僅かながらに分かった気がします。大学での残り1年間、そして医師になってからも後輩に丁寧に伝えることができるようになるよう、下積みをしっかりしていきたいと思います。
ここでしか学べない医療があるため、また来年選択が可能でしたら貴院で学ばせていただきたく思います。
これから寒い時期となりますが、どうぞ皆様お身体にお気をつけてお過ごしください。
私もこれから精進し、将来医師としてどこかで繋がることができるよう努めます。
敬具
令和5年10月6日
福島県立南会津病院の皆様
拝啓
晩夏の候、貴院ますますご隆盛のこととお喜び申し上げます。
この度は、令和6年8月の1ヶ月間、貴院において地域医療研修を受けさせていただき、誠にありがとうございました。
厳しい暑さが続く中、貴院の先生方や看護師さん、技師さん、事務職の方々、スタッフの皆様には温かいご指導を賜り、また、地域医療の実際を学ぶ貴重な機会を頂けましたこと、心より感謝申し上げます。
貴院での1ヶ月間間の研修を通じて、地域医療の難しさを実感することができました。
特に、南会津という地域の広さと、その広さの中に病院が貴院のみということが、医療者側と患者さん側双方にとってどれだけ大変なことかということを実感することができました。
医療者側にとって、大変であり労働生産性の観点からも難しさを感じた点としては、訪問診療です。医師1人と看護師1人いれば病院内での普段の予約外来であれば、2時間もあれば10人以上は診ることができるものの、訪問診療となると2時間以上というだけの時間をかけて2人の患者さんを診に行くということがありました。入院するほどではないが、診療が必要であり、しかし、患者さん側から病院へ足を運ぶということが難しいような状態の患者さんは必ずいらっしゃり、そのような方々を皆病院周辺に施設を集約的に建てて入所させるということも、患者さん側からしたら伝統や引き継いできたなど様々な理由や思いから自分の家で過ごしたいという意志がある以上、それを無視することはできないため、解決することはなかなか難しいと感じました。
患者さん側にとって大変だと感じた点としては、そもそも家から病院までの距離が遠いことや公共交通機関の本数の少なさなどにより病院に通うこと自体が大変ということや、実際に経験した例として、22時過ぎに救急車で搬送されたものの入院適応はなく帰宅の方針となったが、身内で迎えに来ることができる人がおらず、その時間になるとタクシーもないため帰る足がなくて困るという状態になった患者さんの例を経験しました。
地域では公共交通機関を含めたインフラや、その他娯楽を含めた様々な施設も十分といえるほどではなく、様々な職種が人手不足で、地域で働いている人も、その地域に住んでいるのではなく、家庭を持っている方々は特に、車で1時間かかる若松から通っている方も多いという印象を受けました。
住んでいる人が少ないからと言ってインフラやサービスを止めるわけにはいかず、広い面積の地域に住む少数の人々のためであっても税金や人手は必ず必要であり、倫理性や伝統と合理性を両立することの難しさを実感しました。
改めまして、この度は地域医療につきまして貴重な経験をさせていただき、貴院の皆様に心からの感謝を申し上げるとともに、今後の貴院の益々のご繁栄と皆様のご健康をお祈り申し上げます。
敬具
令和6年8月30日
福島県立南会津病院の皆様
拝啓
立秋とは名ばかりの猛暑が続きますが、いよいよご清栄のこととお喜び申し上げます。
福島県立医科大学会津医療センター研修医の○○です。8月の1か月間お忙しい中、ご指導いただきありがとうございました。
私は自治医科大学の卒業生で学生時代に何度か南会津で研修をさせていただいたことがありました。その際は卒業生の先生方が実際に働いている様子を見たり、遠距離研修で南会津地域の広さを経験したり、漠然と「こんな地域でこんな風に働くのか」と考えていました。
この1ヶ月は研修医という立場で働きながらより具体的に自分の将来の働き方について考えることができました。
南会津病院の研修でもっとも印象に残っているのは役割の広さです。内科・外科問わず入院している患者さんを見ることはもちろん、30分以上離れた地域まで訪問診療を行っていたり、救急車の受け入れでは1次から3次のファーストタッチまで行っていたり、あらゆる段階の患者さんも見ているという印象を抱きました。患者さんの病状が様々であるのは当然のことそれぞれが抱える社会的な問題も様々でした。通院時間であったり、介護してくれる家族の問題であったり、それぞれの問題があってガイドラインの型に当てはめるだけではうまくいかないような患者さんがたくさんいるのだと感じました。そんな方々に先生方は医学的な面だけではなく社会福祉的な面からもアプローチをしてどのようにしたら生
活することができるか一緒に考えているのが印象的でした。「IC(インフォームドコンセント)ではなくSDM (Shared Decision Making)であるべきだ」とおっしゃっていたのがまさにこのことだなと日々感じていました。3年目以降は治療方針を決めていく立場になりますがその際にはSDMの気持ちをもって患者さんと一緒に意思決定をしていきたいと強く感じました。
また自治医大や福島県立医大の学生ともかかわる機会や話をする機会をいただけたことでいつも以上に勉強になり、刺激を受けることができました。懇親会等で学生たちと一緒に先生方のお話を伺うことで自分の今後の進路について改めて考えることもできました。
南会津病院の先生方はもちろんのことあらゆる職種の方々に大変お世話になりました。
皆様にとても暖かく接していただけたおかげで非常に充実した研修を行うことができました。心より感謝申し上げます。将来的には南会津にて働く可能性は高いと思いますのでその際もよろしくお願いいたします。
最後になりますが、残暑なお厳しい折柄、くれぐれもご自愛ください。
敬具
令和6年8月30日