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知事記者会見 令和元年7月16日(火)

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年7月18日更新

知事定例記者会見

■日時 令和元年7月16日(火)10時00分~10時20分
■会場 応接室

【質問事項】
1 人口減少対策の取組につい
2 国家公務員宿舎の入居者への対応について
3 参議院議員選挙について
4 福島第二原発の廃炉に向けたスケジュールについて
5 東京オリンピック・パラリンピックへの機運醸成について
6 小惑星探査機「はやぶさ2」の地下物質採取について

 

知事定例記者会見 令和元年7月16日(火)   動画を再生する

【質問事項】

1  人口減少対策の取組について

【記者】
 人口の動態が公表されました。震災直後はかなり厳しい状況であり、まだその状況を脱したわけではないと思いますが、様々な取組をされ、他県と比較したときに、かつてほど深刻な状況ではなくなったと思います。この間の取組を振り返っての知事の思いと、今後に向けた考えをお聞かせください。

【知事】
 現在、福島県の人口について、「光」と「影」の両方を感じています。まず「光」ですが、社会的な人口減が震災、原発事故直後に比べて減り幅が落ちついてきて、震災前の状況に戻りつつあると認識しております。その中で、福島県に移住される方が大きく伸びています。また、震災前は50代、60代の方が7割を占めておりましたが、最近の傾向として、20代、30代、40代の方が7割から8割と、若い方が多く移住されております。各市町村もこういった取組に力を入れておりますし、出生率も関東以北ではトップクラスですので、ベースとして明るい兆しが出てきたという認識を持っています。
 一方で、「影」ですが、福島県は一番多い時には213万人以上の人口でした。現在は184万人台であり、毎年1万人以上の人口減が続いている状況に変わりありません。また、現在の人口構造を見るとやはり高齢の方が多い。したがって、自然減、高齢で亡くなる方が年々増えていく傾向が続きます。
 したがってこの「光」と「影」の両方を県として真摯にとらえ、市町村や関係機関と力を合わせて人口減少の幅を食いとめる、「地方創生総合戦略」を進めていくことが重要だと思います。現在、総合戦略が見直しの時期を迎えておりますので、戦略を見直しながら、一つ一つの施策を実行し、人口減少に歯止めをかけていくことに全力で取り組んでいきたいと思います。

【記者】
 首都圏を除いて全国的に、大都市圏を抱えている地域であっても人口が減少するという状況にあり、地方だけではどうしようもないと思います。知事は総務省の出身ということで、知事による会合などもあり、政策面で今後どのように国に求めていく必要があると思いますか。

【知事】
 今般の調査結果を見ますと、日本全体で過去最大の43万人が減少しております。その中で、特に地方の人口減の落ち込みが大きく、一方で東京圏への人口集中が加速しているという現状があります。やはり日本全体の国土政策を考えた時に、一極集中ではなく多極分散、地方創生を進めていくことが重要です。
 地方創生に当たっては、二つ重要なポイントがあります。一つは「規制」、制度的に地方がより施策を展開しやすくすること。そしてもう一つは、交付金、補助金等の「財源措置」を講じ、地方自治体あるいは地方の方々が様々な施策を展開できるようにすること。この二つが重要だと思います。
 全国知事会やその他の機会もございますが、県の単独要望も含めて、国に対し、「地方としてこういうことをやりたい。そのためにはこういった規制の緩和や財源措置を国として責任を持って講じてほしい」ということを訴えていきたいと思います。

【記者】
 制度的な規制緩和や財源措置を求めていくということですが、福島県として何をしたいと思っておられますか。

【知事】
 現在、国に対してイノベーション・コースト構想の関係で、いくつか具体的な提案を行っています。これは福島復興特別措置法等で対応できるものもあるかもしれませんし、あるいは特区の活用もあろうかと思います。
 具体的な内容は控えさせていただきますが、福島県としてこういった具体的なことをやりたいということを国に対して訴え、それを国に認めてもらうというプロセスが重要だと思っていますので、関係の省庁と丁寧に協議していきたいと思います。

【記者】
 イノベ-ション・コースト構想を人口減少対策の一環として提案しているということですか。

【知事】
 人口減少対策は総合戦略です。したがって、総合戦略である以上、福島県の復興政策も人口減少対策そのものだと思っております。御承知のとおり、福島県全体で人口がある程度減っておりますが、中でも避難指示が出た浜通り地域がより厳しい状況にあります。こういった地域を活性化させること、財源的な対応ももちろん重要ですが、制度的にも他にはない後押しをしていくことが重要だと考えております。

【記者】
 一方で、全国的に人口が落ち込んでいるということは、イノベ構想のように特化したものよりも、グランドデザインというか、日本全体としてのプラスアルファの人口減少対策が必要だと思いますが、そういう点で、知事は国にどのように要望していきたいと思いますか。

【知事】
 人口減少で苦しんでいる地方や県において、これまで頭を悩ませてきたのが、高校生までは古里にいる方が大学等へ進学する際、首都圏に出て行くという問題があります。実は昨年の知事会において、東京23区内等における大学の定員の在り方について、侃々諤々の議論を行いました。東京都等の知事からは、「そういった考え方はいかがなものか」という御意見も当然ございましたが、知事会としては一定の抑制策というものはあってしかるべきとし、国に対し具体的な提言を行い、結果として、国において23区内における大学の定数の在り方について、一定の方向性を出していただきました。こういった一つ一つの提案を福島県単独ではなく、各県と連携しながら取り組んでいくことも重要だと考えています。

2 国家公務員宿舎の入居者への対応について

【記者】
 先週、国家公務員宿舎に住んでいる自主避難者に対して、県として家賃の2倍に相当する損害金の請求をされたと思いますが、その件に対する知事の考えをお聞かせください。

【知事】
 国家公務員宿舎の貸付については、2年間の経過措置として実施してきたところであります。退去されなかった方に対し、今月8日付けで契約に基づき、4月分の損害金の請求をさせていただきました。国家公務員宿舎の入居者に対しては、戸別訪問や現地での相談会などを通じて、生活、住まい、健康といった個別課題の把握に努めております。引き続き、避難先の自治体や、福祉・就労などの専門機関とも連携しながら支援をしていきたいと考えております。

 【記者】
 先週、支援団体の方々が県に来られて抗議文などを提出されました。2倍(の請求)について、非常に問題ではないかと訴えておられましたが、その件に関してはどのように感じていますか。

【知事】
 先週、関係団体からそういった撤回要求等を頂いているところであります。県としましては、国家公務員宿舎の貸付は2年間の経過措置として実施したものであり、生活保護の受給世帯など、事情のある世帯については特別な措置も講じているところであります。今後とも丁寧な対応を続けてまいります。

【記者】
 2年前にセーフティネットとして2年間を条件とした契約を結んだのは、確か150世帯だと聞いてます。結果として、(2年後に)60世帯ぐらいとなり、現在、50世帯ぐらいの方々が残っているようですが、個人的には結構多いと思っています。個別に訪問されているとお話がありましたが、あまりうまくいっていないから世帯が残っていたり、こうした問題が生じているのではないかと思いますが、(それに対する)反省ですとか、あるいは今後どうしていきたいと考えていますか。

【知事】
 この2年間の経過措置の期間においても、各世帯の方々を訪問してお話をしながら、協議を続けてきたところであります。ただ、現時点において、いまだ決まっていない方もおられますので、引き続き、県として、避難先の自治体あるいは専門機関とも連携しながら、入居者の方との協議を重ねてまいります。

 参議院議員選挙について

【記者】
 参議院議員選挙が後半戦に入ってきましたが、どういった課題について議論して欲しいか。また、投票率が年々下がってきていますが、知事としての考えをお聞かせください。

【知事】
 今回の参議院議員選挙において、各政党がそれぞれの公約を掲げておられます。その中で福島県として、強くテーマとしていただきたいことが二つあります。一つは複合災害からの復興、もう一つは人口減少対策です。この二点が福島県にとって非常に大きな課題であり、また短期間ではなく、残念ながら中長期の課題となると思います。
 各候補者においては、この二つの点について、福島県の現状に鑑み、どういった政策を具体的に打ち出していくのかを有権者の方に訴えていただくことが重要だと思います。また、選挙は民主主義の根幹をなすものであります。投票への参加は国政に直接一人一人が関わることができる貴重な機会でありますので、皆さんの思いや願いを投票活動につなげていただけるよう、県の選挙管理委員会あるいは市町村の選挙管理委員会等と連携しながら、啓発に努めていきたいと思います。

 福島第二原発の廃炉に向けたスケジュールについて

【記者】
 福島第二原発について、去年(東京電力の)小早川社長が廃炉方針を表明されてから1年以上経過していますが、廃炉の正式決定に向け、知事はどのようなスケジュール感が望ましいと考えますか。

【知事】
 昨年6月に東京電力の小早川社長から、福島第二原発を全基廃炉とする方向で、具体的な検討を進めていく旨の発言がありました。県としては、福島第二原発の廃炉を正式に判断いただき、安全・着実に廃炉作業を進めるよう、国、東京電力に求めてまいります。

 東京オリンピック・パラリンピックへの機運醸成について

【記者】
 オリンピックまであと1年と迫り、聖火リレーの募集やあづま球場でのイベント等、県としても取り組んでいますが、一方で、機運の醸成といったところでは、まだまだ課題があるのではないかと思います。これから1年間、どのように取り組んでいくのか、知事の受け止めと、今後の期待感について伺います。

【知事】
 東京オリンピック・パラリンピックまであと1年というところまで来ております。これからの1年間あっという間だと思いますが、今回の東京オリンピック・パラリンピックは、「復興五輪」という大切なテーマを掲げています。「復興五輪」である以上、福島県を始め、東北あるいは西日本などの被災地となった地域が、より元気になるようなオリンピック・パラリンピックであることが大切です。そのためにも、多くの県民の方々が当事者意識を持って関わっていただくことが重要だと思います。
 県としては、目の前の復興施策を前進させ、一つ一つを県民に感じていただくことを第一に進めてまいります。併せて、オリンピック・パラリンピックの機運の醸成が重要でありますので、例えば、県が組織委員会と連携して行う様々なイベントに、多くの方々に参加いただくなど、来年に向けた参加意識を高めていきたいと思います。
 現在、聖火ランナーの募集をしておりますが、自分が走ってみたいという思いで応募いただくことは大歓迎です。(一人)200メートルぐらいの距離ですので、老若男女が笑顔で走り抜けることができます。この機会に応募してみるというのもチャンスだと思います。今回、県内7方部全てを聖火ランナーに回っていただきます。自分の家のすぐそばまで聖火が来て、一生懸命走っている姿を見ていただくのも参加だと思います。
 また、現在、2,200人ほどのボランティアが日々研修を続けておられます。国内外から訪れる多くのお客様に対し、福島の「光」と「影」について正確に発信しつつ、笑顔でおもてなしをして、「福島に来てよかった」と喜んでいただけるよう、ボランティアの育成をしっかり進めていきたいと思います。

 小惑星探査機「はやぶさ2」の地下物質採取について

【記者】
 先週、「はやぶさ2」のニュースが大きな話題となりましたが、県内でも会津大学や企業などが関わっています。その点についての受け止めをお聞かせください。

【知事】
 私自身もこのニュースを興奮しながら拝見しておりました。今回のミッションの中核となるプロジェクトで見事な成功を収められたことに感激しました。会津大学を始め、県内企業の高度な技術力が極めて大切な役割を果たし、県民に夢と希望、誇りを与えてくれました。2020年の末には、地球への帰還という最後の大きなミッションが残っています。これを無事に果たして、すばらしい成果を持ち帰っていただくこと、また、様々な難関や逆境があってもそれを乗り越えて挑戦を続けることで希望をつかむことができるということを、「はやぶさ2」が福島県民、全国の皆さんに示していただけることを期待しております。

【記者】
 直接は関係ないかもしれませんが、イノベーション・コースト構想の推進や県内のものづくりという点からはどのようにご覧になっていますか。

【知事】
 大切なことはチャレンジ、挑戦することだと思います。「はやぶさ2」、イノベーション・コースト構想もそうです。大きな夢を持ち、夢の実現に向けて様々な方々が最大限の努力をし挑戦を続けること。その中で一つの希望や成功が出てくる。その証の一つが、過去において見事に頑張った「はやぶさ」であり、また今回挑戦を続けている「はやぶさ2」であると思います。
 現在、イノベーション・コースト構想において、再生可能エネルギーの分野、ロボットの分野など様々なチャレンジをしている方々にとって、間違いなく勇気をもらっていると思います。お互いに連携しながら、それぞれの夢を形にするために努力を続ける、そのきっかけとなることを期待しております。

(終了)

【問合せ先】

1 人口減少対策の取組について
(ふくしま創生総合戦略に関すること)
 →企画調整部復興・総合計画課 電話024-521-7922
(住民基本台帳に基づく本県の人口動態等に関すること)
 →総務部市町村行政課 電話024-521-7304

 2 国家公務員宿舎の入居者への対応について
 →避難地域復興局生活拠点課 電話024-521-8629

3 参議院議員選挙について
(投票率の向上に関すること)
 →総務部市町村行政課 電話024-521-7304

4 福島第二原発の廃炉に向けたスケジュールについて
 →企画調整部エネルギー課 電話024-521-7116

 5 東京オリンピック・パラリンピックへの機運醸成について
 →文化スポーツ局オリンピック・パラリンピック推進室 電話024-521-7312

 6 小惑星探査機「はやぶさ2」の地下物質採取について
 →商工労働部企業立地課 電話024-521-7916