■日時 令和元年9月2日(月)10時00分~10時15分
■会場 応接室
【質問事項】
1 アーカイブ拠点施設について
2 国家公務員宿舎セーフティネット使用貸付未契約者に対する提訴について
3 東京電力福島第一原発1、2号機排気筒解体工事について
【質問事項】
【記者】
先程の会議でアーカイブ拠点施設の名称が正式に決定しましたが、名称選定のねらいと今後の期待感について伺います。
【知事】
アーカイブ拠点施設の名称については、施設の目的を明確に示すとともに、世代を問わず理解いただけるよう、「東日本大震災・原子力災害伝承館」としたところです。この施設は、これまで誰も経験したことがない複合災害の記録とそこから得られた教訓、そして福島が復興に向けて歩んでいく姿を未来の世代へと継承していくという大切な役割を有していると考えています。
【記者】
関連で、語り部のような方を配置するということですが、誰がどんな方法で、また、誰を選ぶのか、考えがあれば教えてください。
【知事】
まず、「東日本大震災・原子力災害伝承館」というハードを整備することが重要であります。内部の構成については、(展示の)六つの段階を歩んでいただき、時間の経過とともに過去から未来に向かう姿を見ていただくという工夫をハード面で進めていくことが大切です。併せて、今、御指摘いただいた語り部のような存在も大切です。ホープツーリズム等により、実際に今の状況や災害時はどんな状況だったのか、あるいはそれを乗り越えて復興に向かってどう歩んでいるのかについて、県内外や国外の多くの方々に、浜通り地域に来て、見ていただく時、その傍らで語り部のような方が自分自身の具体的な体験を通して語りかけることによって、その効果は大きくなります。また、語り部の方々の輪が広がることで、震災の状況、あるいは原発事故という非常に重い課題について、地域の方自身が改めて見つめ直す大切な機会になると思います。
この伝承館において、語り部の方々のネットワークを活用し、活躍していただきたいと考えており、またそういったネットワークを広げ、若い世代につないでいくことができればと考えています。選任方法や具体的な手法はこれからということになりますが、非常に重要な要素ですので、力を入れて取り組んでいきたいと思います。
【記者】
先程の会議の中で、アーカイブ施設の名称に「福島」という文字が入っていないという話が出たと思いますが、「福島」の文字をあえて入れなかったことについて、知事としての考えをお聞かせください。
【知事】
今回名称を検討するに当たり、「福島」という文字を入れる、入れないという議論がございました。実際、今までの大きな災害、例えば阪神淡路大震災といった震災のアーカイブ施設についても、特定の地域の名称は入れておりません。今回は原子力災害だけでなく、東日本大震災全体を包括する伝承館ということもあり、議論の結果として、このような名称になっております。
【記者】
オリンピックまでに間に合い、多くの方に来ていただきたいと思いますが、知事の期待感について伺います。
【知事】
来年、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催時期を視野に入れながら、開所に向けた準備を進めていきたいと考えております。
【記者】
東京五輪に合わせてという話ですが、一方で、周辺の復興祈念公園については来年の夏にはまだ建設中という段階にあり、来てもらった方々に公園を活用してもらいたいという考えもあると思います。知事は、復興祈念公園を今後どのように活用していきたいと考えていますか。
【知事】
御指摘のとおりです。復興祈念公園及びアーカイブ拠点施設は、それぞれ非常に重要な役割を果たす施設であり、是非、国内外の多くの方々に見ていただきたい施設です。その意味で、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの時期に間に合うのか、又は一定程度の整備を進められるかということは重要であります。現在、それぞれの整備スケジュールの議論を進めておりますが、まだ確定しておりません。大事な拠点施設であることから、整備に向け最大限努力しながら、東京オリンピック・パラリンピックの時期を視野に入れて検討を進め、造り上げていくことができればと考えております。
【記者】
例えば整備中でも見ていただく、建設途中段階でも語り部として見てもらうということも考えていますか。
【知事】
このような施設を造っていく以上、何らかの形で見ていただくことが大切だと思います。(工事が)完了することは難しいかもしれませんが、どこまで工夫できるか、更に検討を深めていきたいと思います。。
【記者】
先日の政調会で、国家公務員住宅入居者(セーフティネット使用貸付未契約者)に対し、県として提訴する方向で検討しているという話がありましたが、改めてその理由を教えてください。
【知事】
国家公務員宿舎の貸付は2年間の経過措置として実施したものです。また生活保護の受給世帯など、特別な事情のある世帯については、特例的な対応も行っております。一方で、国家公務員宿舎の入居者に対しては、戸別訪問や現地での相談会などを通じて、生活・住まい・健康といった個別課題の把握にも努めているところです。引き続き、避難先の自治体あるいは専門機関と連携しながら、丁寧に対応していきたいと考えております。
【記者】
福島県から出られ、また被災した方でもあるということを考えると、法廷闘争で結論を導いていく形は避けたいと思うのですが、(提訴を)辞さないという理由について、改めて教えてください。
【知事】
これまでの2年間、丁寧に話し合いを続け、何とか形をつけたいという思いがありましたが、難しい部分もあり、結果として今回の対応となったところです。
【記者】
提訴の対象者に一部含まれているのかもしれませんが、(県から)二倍の損害金家賃を求められている方々の中には、収入が少ないため、都営住宅のような所に入居したいという話をされてる方もいますが、県として、例えば、特例的に都営住宅への入居について、東京都にお願いするといった対応を進める考えはあるのでしょうか。
【知事】
国家公務員宿舎の入居者からは様々なお話を伺っております。それらを踏まえた上で、引き続き、避難先の自治体あるいは専門機関と連携しながら対応していくとの基本スタンスにより対応していきたいと思います。
【記者】
福島第一原発の排気筒の解体について、1日で終わる予定の19分割のうち一つ(の工程)が、ようやく昨日終わり、かなり時間がかかっていますが、これについて知事どのようにお考えでしょうか。
【知事】
福島第一原発1、2号機の排気筒の解体工事につきましては、中断もありましたが、昨日、最上端の円筒部分を地上に下ろす最初の工程を終えたところであります。今回の排気筒解体工事を始め、使用済燃料や燃料デブリの取り出しなど、今後も困難な作業が続きます。このため、東京電力においては、常に緊張感を持って、細心の注意を払いながら、安全かつ着実に作業を進めていただきたいと考えております。
【記者】
安全にということですが、半分まで切ったところで機械の調整にしばらく時間がかかり、今回最後まで切る段階で、9割ぐらい切ったところで中々進まなくなり、9割のところで機械を外してしまうと落下の危険があるということで、かなり綱渡りの状況で何とか最初の一歩を踏み出したように思います。このようなことが続くと、全体の工程に遅れが出るのは明らかだと思います。安全・着実という一方で、全体の廃炉工程への影響についてはどのように考えますか。
【知事】
今回の解体工事、使用済燃料及び燃料デブリの取り出しは、これまで経験がない作業工程となります。したがって、事前に想定していたスケジュール通りにはいかないという場面もあると思います。私どもがこれまで東京電力、国に対して求めているのは、安全を最優先にということです。全体としてのスケジュールはもちろん念頭に置きながら、一方で、安全を最優先する。その姿勢で取り組んでいただきたいと考えております。
【記者】
3号機の使用済燃料の取り出しに関しては、機器のトラブル等が相次いで(作業が)遅れました。このとき県は、東電を呼び出して要請をしたと思います。今回、核燃料は取り扱っていないのですが、前回同様に機器のトラブルで遅れているということで、福島県として東電に対して申し入れを行う予定はありますか。
【知事】
県では担当の駐在員がおり、廃炉安全監視協議会という組織もあります。今回の解体工事においては、現地の駐在員が状況を見ながら、土曜、日曜の状況も含め、私も報告を受けております。まず、こういった現地での対応が大切であり、今後の東京電力に対する対応については、関係部局において検討を行っていきます。
(終了)
【問合せ先】
1 アーカイブ拠点施設について
→文化スポーツ局生涯学習課 電話024-521-7784
2 国家公務員宿舎セーフティネット使用貸付未契約者に対する提訴について
→避難地域復興局生活拠点課 電話024-521-8629
3 東京電力福島第一原発1、2号機排気筒解体工事について
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252