■日時 令和2年1月14日(火)10時00分~10時20分
■会場 応接室
【質問事項】
1 バドミントン競技の桃田賢斗選手の交通事故について
2 東京電力による集団ADR和解案の拒否について
3 県立高等学校改革について
4 台風第19号の災害関連死について
5 福島イノベーション・コースト構想に係る県の戦略について
6 台風第19号の復旧状況について
【質問事項】
【記者】
昨日、マレーシアで桃田賢斗選手が事故に巻き込まれたという報道がありました。県として、把握されていることや、知事からコメントがありましたらお伺いします。
【知事】
桃田選手の突然の事故の知らせに大変驚いております。現時点では報道の他に県として掴んでいる情報はございません。桃田選手におかれては、治療に専念され、心身ともに一日も早く回復されることを願っております。
桃田選手は、福島県民はもちろんのこと、日本中が応援をしているアスリートであります。再び元気な姿、そして華麗なプレーを見せてくれることを心から期待しております。
【記者】
原発事故の賠償の関係ですが、ADRに集団で申し立てた事案について、東京電力が拒否するということが続いております。以前、(知事は、)積極的にADRの和解案を受け入れるべきだということを発言されておられましたが、改めて、本件についての現時点での考えを教えてください。
【知事】
個別の事案について、県としてコメントすることは差し控えさせていただきます。その上で、東京電力においては、原子力災害の原因者として、自覚を持って被害者それぞれの立場に立った賠償を的確に迅速に行っていただきたいと考えております。
【記者】
ADRの和解案を受け入れるべきという考えについては、現時点でも同じでしょうか。
【知事】
県としては、これまで原子力損害対策協議会の活動等を通じて、東京電力に対し、ADR和解案の積極的な受け入れなどを含め、被害者の立場に立った賠償を行うよう、繰り返し求めてきたところであります。
また、先週7日にも、私から直接、東京電力の小早川社長に対し、個別事情に柔軟に対応しながら、賠償を的確かつ迅速に行うよう求めたところであり、今後とも様々な機会を捉え、求めてまいります。
【記者】
ADRの示した案に東電が応じなくても、個別に対応すれば、それはそれで認めるという考えでしょうか。
【知事】
今回、個別の事案については、県としてコメントしておりません。その上で、先ほどから県としての基本的な考えをお話しさせていただいているところであります。
【記者】
先日、小早川社長がいらっしゃった時に、「個別具体の事情に柔軟に対応しながら賠償を行っていただきたい」と発言したということですが、この「個別」という言葉が、集団ADRの分断と取れるのではないかという声が原告から上がっております。その点を知事はどうお考えでしょうか。
【知事】
まず、ADR和解案の積極的な受け入れについて、東京電力に対して県として求めているということを、先ほどお話しさせていただきました。また、県として、個別具体の事情に柔軟に対応して欲しいという話をしておりますので、それぞれがお互い絡み合っていると捉えていただければと思います。
【記者】
知事としては、集団でなくても個別にADRを受け入れればいいという、東電の今の姿勢を追認するということですか。
【知事】
今回の個別の案件に県としてコメントをしていないという状況について、まず御理解いただきたいと思います。その上で、県としての基本的なスタンス、ADRや個別案件に対する対応については、先ほど申し上げたとおりでございます。
【記者】
ADRについて伺います。知事の「個別の案件にはコメントしない」という立場と、東電に「個別の案件は事情に応じてやってくれと言っている」という立場を合わせると、賠償に関しては、県としては積極的な発信をしないということになると思いますが、これについてはどのようにお考えですか。
【知事】
県としては、これまで原子力損害対策協議会での活動、あるいは、私自身、東京電力の社長や会長等にお会いした際に、賠償にしっかりと対応して欲しいという話を幾度も幾度も申し上げてまいりました。そういった中で、東京電力の対応に一定程度の進捗があったのも事実かと思います。
ただ一方で、今なお様々な案件がございますので、先ほど申し上げたスタンスで、県としての思いを伝え続けているところであります。
【記者】
全てが集団ADRでうまくいくとも思えませんし、個別の案件でやらなければいけないことも当然あると思いますが、「知事という立場で、東電に対し『個別の案件に応じて』と言ってしまうと集団ADRが否定されるのではないか」と先ほど質問があったように、東電に対しては、個別の案件より集団ADRの尊重について、前面に出して訴えるべきではないでしょうか。
【知事】
県としては、これまで原子力損害対策協議会の活動等の中で、東京電力に対してADR和解案の積極的な受け入れも含めて求めているところでありますので、そのスタンスは従前も現時点においても変わっておりません。
【記者】
県教委が進める県立高校の再編について、基本的な見解をお伺いしたいと思います。少子化に伴う大幅な再編ということで、地元からは驚きの声や抵抗もあるように聞いております。設置者としての基本的な立場もあるかと思いますが、現時点ではどのようにお考えでしょうか。
【知事】
2028年までに約5,300人の中学校卒業者数が減少するという状況の中で、本県の未来を担う若者たちに、より良い教育環境を提供していくためにも、県立高校改革は喫緊の課題であります。策定された前期実施計画では、今後5年間における各高校の具体的な改革の方向性が示されております。
現在、県教育委員会において、再編整備の各対象校における高等学校改革懇談会を開催し、改革の方向性等について説明を行い、御意見を伺っているところです。計画に対し、様々な要望等を頂いていることも伺っております。引き続き、統合後の教育内容の特色や魅力なども含め、丁寧に説明しながら懇談を重ね、地域の皆さんに理解を得られるよう進めていくと聞いております。
【記者】
台風19号の関連死について伺います。現時点で当社が把握しているだけでも、県内で7件の関連死の弔慰金申請があるようです。関連死というと、東日本大震災の時に、「防げたし、助けられた命」ということで非常に注目され、特に福島県は、2,000人を超える方が関連死として認定されています。今回の台風19号でも、7件のうちどれだけ認定されるかは分かりませんが、関連死を防げたかどうかについて第三者委員会で検討されるのか、知事の考えをお聞かせください。
【知事】
災害関連死については、市町村の審査会において、災害による負傷の悪化や、避難生活等での身体的負担に伴う疾病により亡くなられたと認められたものであります。昨年の台風第19号等において申請の動きがあるということを承知しております。避難所や在宅の避難者の健康管理については、各保健福祉事務所が被災市町村と連携して健康状況の確認や感染症を予防するための指導など、専門職による支援に取り組んできたところであります。
引き続き、市町村と連携しながら、災害関連死を防ぐための支援に取り組んでまいります。併せて、今後、台風19号等の災害に関する検証を行ってまいりますが、災害関連死を減らすことは非常に重要な内容であると思います。市町村のお話も伺いながら、こういったものも検討していく必要があると考えております。
【記者】
イノベーション・コースト構想の件で、今後、(福島ロボットテストフィールドの)全面開所も控えており、航空宇宙産業と医療産業が新たに重点項目に加えられましたが、需要がある産業である一方、各地でいろいろと取り組んでいる内容であると思いますが、その中で福島県として、どのような戦略を持って取り組んでいかれるお考えでしょうか。
【知事】
福島イノベーション・コースト構想は浜通りの今後の復興・再生にとって、極めて重要なプロジェクトだと考えております。このような視点から、県としての取組のみならず、国家プロジェクトとしての体系が打ち立てられております。その際に大切なことは、「大胆なプロジェクト」と「きめ細かなプロジェクト」であると思います。
「きめ細かなプロジェクト」としては、地域の皆さんがこのイノベーション・コースト構想に関わることが出来る地元企業の参画、例えば地元の高校生が就職し、イノベーション・コースト構想に関わるということも重要であると思いますし、あるいは農業の再生が双葉郡、浜通りで求められておりますが、農業・林業に、このイノベーション・コースト構想をどういかしていくか、こういったきめ細かい対応をまず進めてまいります。
併せて大切なことは、「大胆なプロジェクト」の意味合いです。今、お話がありましたような、いわゆる先進的な産業、例えば、廃炉産業、再生可能エネルギー産業、ロボット産業、医療関連産業、航空宇宙産業、こういったものは日本、また世界において非常に成長が見込まれる大きな分野であります。一方で、これは他の県においても同じ状況でありまして、今挙げたようなそれぞれの産業は、各県が自分のところでナンバーワンになろうという思いで一生懸命取り組んでおられるかと思います。
医療関連産業について申し上げますと、福島県として10年以上前から、促進に着手しております。福島県内は、医療関連の最先端の企業が奮闘しており、製造金額等を取っても、すばらしい伸びと結果を示しているところであります。航空宇宙関連産業につきましても、例えばIHIなど、県内にベースを持った企業があり、また、今「はやぶさ2」が地球に向かって帰還を進めていますが、この「はやぶさ2」にも正に福島の技術、イノベーションがいかされております。全く何もないところからつくるというのは決して簡単ではないと思いますが、福島県は、医療関連、航空宇宙についてはその素地があると思います。
一方、廃炉関連産業、ロボット産業につきましては、御承知のとおり、福島第一原発、第二原発合わせて10基の全基を、これから安全に廃炉に持っていかなければなりません。特に、事故機を含む第一原発の廃炉は極めて難しい内容を含みます。人間が直接入って作業出来る環境ではありませんので、そういった意味で、福島でロボット関連産業を伸ばさない限り、廃炉が安全・着実に進むことは中々難しいかと思います。したがって、国家プロジェクトとして、福島においてロボット関連事業を含む廃炉、こういったものをつくり上げる素地があろうかと思います。
他県とは良い意味で切磋琢磨しながら、一方で、福島にある素地をいかしながら、先進的な産業を伸ばしていきたいと考えているところでございます。
【記者】
台風19号から3か月過ぎようとしています。現在の復旧の進捗状況について、知事はどのように感じていらっしゃるのか教えてください。特に復興に関しては土木職員が足りないために遅れているのではないかという指摘もあると思いますが、この辺りについてもお聞かせください。
【知事】
台風19号等から3か月近くが経過しているところでございます。この間、緊急的・応急的な対応はある程度進捗していると思いますが、今なお、復旧あるいは生活再建の途上にあると受け止めております。例えば、いまだ100人を超える方々が避難所での生活を余儀なくされております。避難されている方の健康を守るためにも、市町村と連携して保健師等の専門職を派遣し、保健活動を実施しているところであります。県として引き続き、避難所で生活されている方の健康管理に細心の注意を払いながら、被災された方々が当面の仮の住まいも含め、避難所から安定した居住環境の住まいに移ることができるよう、民間借り上げ住宅や公営住宅等の提供、住宅の応急修理制度の円滑な運用に取り組んでまいります。
被災した中小企業に対する支援ですが、昨年末に補正予算の専決処分、12月補正予算等により緊急的な対応を行っているところであります。グループ補助金及び商店街災害復旧等事業の第一次公募は先月の20日までで終了し、23日から第二次公募を開始したところであります。今後とも事業者向けの説明会を各地で実施して周知を図るとともに、引き続き市町村、商工団体等の関係機関と連携しながら、被災事業者の皆さんが一日も早く復旧できるよう取り組んでまいります。
また、お話のありました公共土木施設あるいは農林施設等の復旧関係ですが、現在、災害査定等の作業を進めながら、それぞれの本格復旧に向けて取り組んでいるところであります。こういった対応の中で、県、市町村において専門の技術職員が足りないという部分がございます。現在、全国知事会等と連携しながら、全国の自治体等、あるいは国や関係機関から関係の専門職の方を派遣いただくということをお願いしております。今後とも、こういった派遣依頼を含め、県として市町村の対応を出来るだけバックアップしながら、各種インフラの復旧が円滑に進むよう、しっかり取り組んでまいります。
【記者】
台風19号の被災状況の把握について、仮設住宅の空き家に入居されている方の人数や世帯数、事業所の被災件数など、市町村からの報告が十分でないという理由で県としての把握が追いついていない状況が3か月経ってもあるようです。これについてはどのようにお考えですか。
【知事】
被災者の方々、あるいは事業所の状況を丁寧に把握していくことが重要であると思います。市町村との連携、関係機関との連携を密にしながら、県として情報収集に努めてまいります。
(終了)
【問合せ先】
1 バドミントン競技の桃田賢斗選手の交通事故について
→ 文化スポーツ局スポーツ課 電話024-521-7742
2 東京電力による集団ADR和解案の拒否について
→ 避難地域復興局原子力損害対策課 電話024-521-8216
3 県立高等学校改革について
→ 教育庁県立高校改革室 電話024-521-7771
4 台風第19号の災害関連死について
→ 危機管理部災害対策課 電話024-521-7194
5 福島イノベーション・コースト構想に係る県の戦略について
→ 企画調整部福島イノベーション・コースト構想推進室 電話024-521-7193
6 台風第19号の復旧状況について
→ 危機管理部災害対策課 電話024-521-7194
(中小企業の復旧支援に関すること)
→ 商工労働部経営金融課 電話024-521-8658
(被災市町村の人的支援に関すること)
→ 総務部市町村行政課 電話024-521-7304