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知事記者会見 令和2年9月7日(月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年9月10日更新

知事定例記者会見

■日時 令和2年 9月7日(月曜日)13時00分~13時25分
■会場 応接室

【発表事項】
1 令和2年度9月補正予算の概要について

【質問事項】
1 東日本大震災・原子力災害伝承館について
2 新型コロナウイルス感染症について
3 帰還困難区域の復興・再生について

令和2年9月7日 福島県 知事   動画を再生する

 

【発表事項】

1 令和2年度9月補正予算の概要について

 令和2年度9月補正予算の概要を発表いたします。
 今回の補正予算は、新型コロナウイルス感染症対策や令和元年東日本台風等災害への対応など、緊急に措置すべき経費などについて計上いたしました。その主な内容といたしましては、新型コロナウイルス感染症対策として、感染拡大に備えた入院病床の確保、介護サービスにおける感染防止対策への支援、アプリを活用した感染対策情報の発信、運行を継続する地域公共交通機関への支援、県委託事業での雇用による就業機会の創出、減収が見込まれる農業者の収入保険への加入促進、令和元年東日本台風等災害への対応として、被災した河川の復旧や防災力の強化、そのほか、モモせん孔細菌病による被害への緊急対策、感染症の影響による事業の中止や効果的な事業への組替え等に伴う減額補正などについても、併せて計上いたしました。
 以上により、一般会計における補正予算の総額は、147億7千8百万円、本年度予算の累計額は、1兆5,726億2千1百万円となります。

【質問事項】

1  東日本大震災・原子力災害伝承館について

【記者】
 先週土曜日に伝承館の内覧会がありました。この伝承館は、震災・原発事故の教訓を伝える施設という目的がありますが、伝承館が伝えようとしている教訓とはどのようなことですか。また、知事にとって原発事故の教訓とは何かについても伺います。

【知事】
 東日本大震災・原子力災害伝承館は、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故による未曽有の複合災害の記録と教訓を、国や世代を超えて継承し、復興に向かう福島の今を情報発信する大切な役割があります。震災及び原発事故の記録を後世に伝えていくことで、来館された方々がこの災害を自分のこととして捉え、考えるきっかけにしていただければと考えております。

【記者】
 知事にとっての原発事故の教訓について教えてください。

【知事】
 2011年3月、福島第一原発が水素爆発を起こしました。正に未曽有の事故で、国際的な基準から見ても極めて深刻な原発事故です。この事故により、避難地域を始め、多くの方々の生活に重大な影響が出ました。原発事故以降、各市町村で避難生活が続き、避難指示が徐々に解除されているものの、今なお、避難生活が継続している地域があります。特に、帰還困難区域においては、いまだ今後の道筋が見えていない地域もあります。こうした状況を見ますと、一度、過酷な原発事故が起きると、その地域全体に大きな負の影響をもたらすということが大切な教訓となっています。また、その地域のみならず、例えば農林水産業や観光業、あるいは「福島」という地名に対するネガティブなイメージ、いわゆる風評被害が、9年半が経過しようとする今もなお継続しています。この風評の問題は、残念ながら、日本国内のみならず、世界各国においても、今なお継続している課題だと思います。原発事故が起きることによって、こういった直接的な被害のほか、風評被害のような間接的な被害が生じ、復興に非常に長い時間がかかるということが、私自身、日々感じている大切な教訓です。

【記者】
 そのような重大な事故が起こってしまう原因は何でしょうか。なぜ発生し、そこまで被害が拡大してしまったのか。国や政府、東電の事前の(対策の)足りなさが、国会事故調、政府事故調でも指摘されています。責任の部分についての展示や説明が、とても少なく見えて、不足していると思いますが、その点について知事はどのように考えますか。

【知事】
 原発事故の原因について、政府や国会等の事故調査委員会、あるいは様々な専門家による指摘がなされております。また、今なお一番深刻な影響を受けているものは、燃料が溶融して溶け落ちた状態、デブリになっているエリアがあり、状況や全体像が把握されている訳ではありません。今後の調査を待たなければ、本当の意味で、2011年の3月に何が起きたのかが十分に分からない面もあるかと思います。政府の事故調査委員会においては、まず、東日本大震災という、巨大な地震が起き、大きな津波が東京電力福島第一原発を襲い、スクラムは一度かかったものの、その後、非常電源が損なわれ、それによって炉内の温度が高くなり、結果として水素爆発が起きたという整理になっていると思います。
 今後も、炉内の状況調査をより詳細に行っていく中において、政府において、原発事故の本質的な原因をしっかりと整理し、我々に説明して欲しいと考えております。

【記者】
 資料選定検討委員会が行われ、報道に対して委員会の開催案内や事後の説明もなく、今に至っても議事録もほとんど公開されていないという状況ですが、原発事故の教訓がどういったもので、何を展示すべきかといった非常に公共性の高いことについて、密室で議論が行われた状態であると思います。このような議論の在り方、進め方が適切だったのか。20日以降に議事録を公開すると聞いておりますが、発言者についても明確にされるのですか。

【知事】
 今回の伝承館の在り方については、まず、アーカイブ拠点施設基本構想を整理し、その後、専門家の皆さんによる検討委員会において、丁寧な議論が行われてきました。この間、市町村や関係団体等からも様々なお話を頂いたり、皆さんに見ていただけるような展示品も寄せていただきました。また、検討委員会の今後の情報公開の在り方については、議事録を公開していくと聞いていますが、個別の内容については、担当部局に聞いていただきたいと思います。
 伝承館が9月20日にいよいよ開館します。今まで集まった展示品も非常に多くありますが、その一部が展示されている状況です。今後、徐々に入れ替えたり、実際の展示物によって、皆さんにその当時の状況を伝えることが出来る部分もあります。また、県民の方や、当時の担当者が、自分の思いを語っている映像を展示する場面もあります。さらに、語り部の方から、自分自身の今の思いを非常に感情豊かに濃縮する形でお話ししていただく部分もありますので、多くの方に見ていただける伝承館をつくり上げていきたいと考えております。

【記者】
 進め方が適切だったかということについて伺いたい。

【知事】
 先ほど申し上げたようなプロセスで、私どもとしての対応を丁寧に行ってきたつもりです。

【記者】
 非公開が丁寧な対応と言えるのですか。

【知事】
 伝承館の検討委員会については、委員の皆さんと御相談の上、丁寧に対応を進めてきたところです。

【記者】
 委員の皆さんに取材した際は、公開しても差し支えないと言っているので、(非公開は)県の判断で決めていると思いますが、その理由を教えてください。

【知事】
 検討委員会の詳細なプロセスについては、担当部局にお尋ねいただきたい。

【記者】
 重要な問題であり、担当部局に聞いても埒があかないので知事に伺っている。なぜ今に至るまで、公共性の高い情報を公開できないのか不思議だが、そこは改善していただきたいと改めてお願いしたい。

【知事】
 御意見として承ります。

【記者】
 伝承館が収集している資料は、2017年から24万点あると先日の内覧会で説明を受けましたが、その中に行政の公文書が一切含まれていないということでした。資料収集のガイドラインを見ても、「公文書に関しては今後考える」といった但し書が付いていて、9月20日の開館が決まった現在においても、公文書の扱いや、どういう方針で収集し保存するかということは決まっていないということです。震災関連の文書は、関連するものは保存しておくよう、市町村や県内部に対して通知しているということは、以前、取材で伺っていますが、統一的な基準が何もなく、各部局や各市町村にお任せの状態で、アーカイブ施設開館以降も、公文書がそのような状況でいいのかと(疑問に)思います。公文書の保存や、今後の分析に資するような保存の在り方について、知事はどのように考えていますか。

【知事】
 公文書の保存の在り方については、県あるいは市町村、それぞれの自治体で現行の制度があります。その制度に則って、適正に運用していくことが基本です。一方で、伝承館における取扱いや、様々な展示品になり得るものをどのように整理していくのか、公文書の関係をどうするかについては、担当部局が取材にお答えしているとおり、今後の検討課題であると考えています。

【記者】
 制度に則って適正に対応していくとなると、通常は、他の公文書と同じく、保存期限を過ぎたら廃棄するということも十分あり得ると思いますが、それを防ぐために、伝承館に保管すべきかどうかは別として、福島県として統一的なルールの下に保管するなどのルールをつくっておくべきではないですか。

【知事】
 今のお考えは御意見として承ります。その上で、東日本大震災及び原発事故は、歴史的に見ても非常に重要な重い災害だと考えていますので、今後の県の公文書の扱いについて、丁寧に検討を進めてまいります。

2 新型コロナウイルス感染症について

【記者】
 新型コロナウイルスについて、県内で陽性者が確認されて今日で半年になります。この間の医療提供体制の構築を始め、県の対応や県民の取組について、知事はどう評価されていますか。併せて、秋以降の流行や県内経済の回復など、今後の課題をどう認識されているかお伺いします。

【知事】
 この半年を振り返って総括すると、新型コロナウイルス感染症については、今年の3月に、初めて県内での感染が確認されてから、4月を中心に第1波と言えるような非常に多くの感染が確認される状況がありました。率直に言って、この時はまだ、検査体制、入院体制が十分に整っている状況ではなく、病床の逼迫率も4割を超えて5割に近づく状況でした。そうした中で、医療機関の皆さんや関係の皆さんと懸命に議論を重ねながら、何とか応急の受入体制を作り、その上で、亡くなる方を出さない、(感染された方においては)出来るだけ早く回復し、社会復帰していただけるよう懸命に取り組んできたところです。並行して、政府から、全国を対象とした緊急事態宣言が発出されました。全国的に、新型感染症が蔓延する中、こういった措置はやむを得ない緊急の対応だと受け止めています。これにより、ある程度、その後の感染が、特に5月、6月においては落ち着きました。また、コロナウイルスに対する県民の皆さんの意識、「新しい生活様式」への取組や緊急事態宣言下におけるステイホームも功を奏したのではないかと考えています。
 まず、医師、看護師、検査機関を始め、関係機関の皆さんのこれまでの御労苦に心から感謝を申し上げたいと思います。また、県民の皆さん一人一人が気を付けて日々の生活を送っていただくことが感染症対策の一番の根幹になると思いますが、概ね行っていただいていると思います。
 また、事業者の皆さんにおいても、緊急事態宣言の際には、一部の事業者あるいはお店において、やむを得ずお休みするという厳しい状況にありました。そういう状況を何とか脱して、今、「新しい生活様式」のもとでガイドラインを業種ごとに作り、再開し、徐々に客足が戻っている部分もあるかと思います。そうは言っても全体的に見れば経済的には極めて厳しい状況が続いているというのが基本的な認識です。
 一旦は落ち着きましたが、その後、7月から8月、特に8月の1か月間は、4月の人数を超える新たな感染者が確認されました。1か月の間にクラスターが3件発生するといった状況もありました。全体を見ると、大都市圏との交流がきっかけで、まず、最初の方が感染され、感染した方の御家族や友人、職場の同僚などに二次感染、三次感染が広がり、結果として、感染者数が拡大していくという傾向が、8月から9月にわたって続いています。
 そのような中において、第1波の時と大きく異なるのは、検査体制と入院体制を拡充したことです。検査体制も最初は数十件でしたが、今は1日600件の対応が可能となり、さらにそれを上回る対応も臨時的には可能です。さらに、病床については、ピーク時に向けて629床を確保できる状況にあります。先ほど申し上げたように、福島県は感染が継続しており、入院患者が現在47名という状態にありますが、この状態でも、病床に占める割合が10%なので、現在は、十分に対応できる状態にあります。
 今後、インフルエンザの時期と重ねて第3波もあり得るかと思います。県民の皆さんには、「新しい生活様式」の継続と徹底をお願いします。事業者の皆さんには、ガイドラインに見合った丁寧な対応をお願いします。県としては、検査体制と入院体制をしっかり確保します。これにより、感染拡大防止を図っていきたいと思います。併せて大事なことは、経済の再生です。これまで、県として、令和元年度、2年度、それぞれの予算と合わせて、補正予算、専決予算等を講じ、経済対策を行ってきました。本日の9月補正予算発表の中でも経済対策を公表しましたが、国の政策を踏まえ、県としての骨格の政策を作り、足りない部分に対しては、補正で対応しているところです。
 大事なことは、感染拡大防止を図ることと、地域経済・社会の再生、この両輪を同時並行で進めていくことに、広域自治体として全力で取り組んでいきたいと考えています。

3  帰還困難区域の復興・再生について

【記者】
 帰還困難区域の復興拠点以外の除染については、飯舘村の動きがあって以降、他の自治体でも、それぞれ独自の動きが出てきています。拠点を作って、そこを足がかりにして全面解除していくといった従来の政府の方法では、中々先が見通せないといった状況にあるのではないかとも思います。一方で、除染は国の責務ですが、飯舘村を含めたこの状況について、知事はどのように捉えているのか。改めて飯舘村の特殊事情というのは、他と比べて何が違うのかについて御説明いただきたい。

【知事】
 まず、県、あるいは実際にこういった拠点、拠点外の区域を抱えておられる自治体の基本的な考え方、認識についてお話をしたいと思います。避難指示解除については、従来から、「放射線量の低下」、「生活関連サービスの復旧と除染の進捗」、「地元との十分な協議」、この三つの要件に基づいて実施されてきました。その上で、帰還困難区域の特定復興再生拠点区域については、国、地元自治体等と連携をしながら、除染や家屋解体、インフラ整備等を進めてきたところです。
 一方で、特定復興再生拠点区域外については、自治体の意見を尊重しながら、丁寧に協議を重ね、除染を含めた具体的な方針を早急に示し、帰還困難区域の全ての避難指示解除について、国が責任を持って対応するよう、様々な機会を捉えて求めてきたところです。飯舘村の案件については、今申し上げた基本的な考え方とは異なるアプローチであったかと思います。
 また、今、各自治体からそれぞれの考えが出ていますが、それは、今私が申し述べた基本的な考え方の中で出ている考えだと受け止めています。いずれにしても、国や地元自治体と連携しながら、帰還困難区域の復興・再生に向けて、県としてしっかり取り組んでまいります。

 (終了)

【問合せ先】  

○発表事項
 令和2年度9月補正予算の概要について
→総務部財政課 電話024-521-7027                                       

○質問事項

1 東日本大震災・原子力災害伝承館について
→文化スポーツ局生涯学習課 電話024-521-7784

2 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238

3 帰還困難区域の復興・再生について
→避難地域復興局避難地域復興課 電話024-521-8434