【質問事項】
【記者】
新型コロナの関係で、昨日の発表分で1月の新規感染者が492人となり、最多だった先月の455人を半月余りで更新しました。このことに対する知事の受け止めと、県民の皆さんへの注意喚起のメッセージをお願いします。
また、入院体制について、先週、知事から宿泊療養施設を拡大する方向というお話がありましたが、(現状で)どのようになっているのか。また、即応病床を順次拡大するというお話でしたが、469床の確保病床そのものを増やす考えが現時点であるのかどうかも併せて伺います。
【知事】
様々な御質問を頂きました。どの項目も非常に重要だと思いますので、少し丁寧に説明をさせてください。
本県の感染状況としては、今月の9日に1日当たりで過去最多となる46名の新規感染者が確認され、その後も連日20名から30名を超える新規感染者が確認されています。1月16日には、これまで1か月当たりで最多であった12月の感染者数、455名を約半月で超えるなど、極めて厳しい深刻な状況にあります。
こうした中、喫緊の課題は、病院の受入体制であります。現在、感染された方がすぐに入院できる病床、いわゆる即応病床については、医療機関の皆さんの御尽力によって、先週1月12日段階の301床から、病床確保計画の目標値である350床まで増やすことが出来ました。
本県では最大確保病床数として469床を確保しています。これは感染状況が最悪の状況になった場合に備えた病床数であり、通常の医療に大きく影響を及ぼす水準であります。
全国47都道府県のうち、計画上の最大即応病床数を超えて最大確保病床を示しているのは、本県を含めて12県あり、それ以外の県は、最大即応病床より下回っている状況ということになります。
今後、即応病床数を350床から更に上積みすることは、救急医療や通常医療との両立が困難な領域に入っていくことを意味します。県民の皆さんには、福島県内の医療提供体制が通常医療を抑制しなければならない状況になりつつあることを御理解いただきたいと思います。
また、医療現場の負担が増大する中で、病床を拡大するのは簡単なことではありません。平常時でも厳しい勤務体制にある中で、一般の病棟から看護スタッフを集めていただくなど、医療の現場においては、厳しい努力をされていることも御理解いただきたいと思います。
感染された方の入院調整に際しても、日々困難な状況が続いています。各保健所を始め、県本部やDMATなど、関係機関が総力を挙げて日々調整を行っております。具体的な例を申し上げますと、検査結果が午後に判明した場合、まずは保健所において感染された方お一人お一人の状況を伺い、その上で、受入可能な病院に受入れをお願いし、地域内での受入れが難しい場合には、県本部が間に入ってDMAT等の協力を得ながら、例えば、福島市の方を郡山市の病院に受け入れてもらえるように依頼し、移動手段の調整を行うなど、広域的な調整に取り組んでいます。こうした調整を関係機関の御協力を頂きながら、夜の10時頃まで行い、やむを得ず当日中に調整が出来なかった場合には、翌朝から再度調整を行い、何とか入院につなげているところであり、日々綱渡りの厳しい状況になっています。
私自身も直接、医療現場の皆さんの声を伺っていますが、ある病院長さんからは、「我々も精一杯、出来る限りの患者の受入れを行っていくが、現場のスタッフが長い闘いで本当に疲弊している。何とか感染拡大を止めて欲しい」との切実なお話を頂いています。近隣のある県においては、自宅療養や入院調整中の方が700人を超える状況が生じています。また、東京都では既に1万人以上の方が自宅療養あるいは入院調整中の状態にあると伺っています。
県民の皆さんの命を守るためにも、医療を支える方々にこれ以上の負担をかけることは、何としても避けなければなりません。感染がこれ以上拡大した場合、救急医療や通常医療が圧迫され、救える命も救えなくなります。そのような中、今、私たちに出来ることは、感染拡大を普段の暮らしの中で防いでいくことです。一人一人が感染しない、感染させないための取組を行うことで、感染拡大を防ぐことが出来ます。本県の医療を守るため、また、県民の皆さんの生命、健康、暮らしを守るため、引き続き、最大限の注意を払った行動を強くお願いいたします。
このように入院状況がひっ迫していることを踏まえ、新たに宿泊療養施設を設けることとしました。無症状や軽症者の方々を対象とした宿泊療養施設について、新たに郡山市に開設し、1月中の受入れを開始します。今回、郡山市に開設する施設は60室を確保しており、これにより、県内における軽症者等の宿泊療養施設は、福島市の60室、いわき市の100室と合わせて220室となります。他地域との交通の便が良く、大規模な医療機関が集積していることから、郡山市に設置することとしました。借り上げる宿泊施設の名称につきましては、相手方の御意向により、公表を差し控えさせていただきますので、皆さんの御理解をお願いいたします。
【記者】
即応病症を350床から更に拡大することは、それ以外の医療に大きな影響を与えるとのことでしたが、更なる確保を予定している469床以上の増床は、中々難しい状況にあるという認識でよろしいでしょうか。
【知事】
ただ今説明しましたとおり、350床というのが、厚生労働省の一般的な基準に基づく最大病床であり、これについては、既に本日時点で確保しております。ただ、この350床に対する利用率が9割に迫るひっ迫した状況となっているため、県としては、感染状況を見ながら469床に近づけていく対応は行ってまいります。
ただ、350床を越えて469床に近づけば近づくほど、通常医療を圧迫することになりますので、感染症の拡大が県内の地域医療の根幹を崩していくことにつながりかねないという状況です。
一方で、仮に今後、ステージ3を超えてステージ4に入るという状況が生じるのであれば、当然469床を越えて(確保する)ということも、論理的にはあり得ます。県としては、ステージ3相当に対応するため、事業者の皆さん、県民の皆さんに強いお願いをしているところです。この対応によって、ステージ3相当のレベルで何とかとどまって、これ以上の感染拡大を食い止め、ステージ2、ステージ1に戻すことで、入院体制をより余裕のある状況に、また、通常医療を圧迫させない水準に持っていくことが我々の強い思いであります。
したがって、悪化すれば対応は考えますが、そうならないように、県民の皆さんお一人お一人にこの窮状を御理解いただきたいということを、皆さんのお力も借りて、お伝えしていただければと思います。
【記者】
今の御説明で、確保病床数が350までと350以上は質的に違いがあるということですが、今、350まで来ているということは、実質的には上限であるということでしょうか。469床に近づける取組は行うとの御説明がありましたが、12県を除いた他県の方法にならえば、実質的には上限ということですか。
【知事】
実質的という言葉や上限の定義には様々な捉え方があると思います。福島県の場合は、自宅での療養や入院調整中の日数を極力短くすることを、これまで徹底的に行ってきました。この350床を超えて469床に近づけることは、物理的にやろうと思えば出来ますが、地域医療全体のあるべき姿からすると、感染医療の方に軸足を置き、通常医療を圧迫してしまうという厳しい状況になります。469床(の確保)については、それぞれの病院に計画を出していただいておりますので、やれば出来ます。したがって、今が実質的な上限では決してないと思います。
また、先ほど申し上げましたとおり、新たに郡山市に60室の宿泊療養施設を確保いたします。その先についても、当然、我々は視野に入れておりますので、こういった宿泊療養施設を増やし、無症状者、軽症者の方にホテルに優先的に入っていただくなど、出来る限り病院の負荷を下げていくことも可能だと思います。
しかし、問題の根本は日々の感染者数です。これが30人、40人、50人といったレベルで継続すると、例えば、仮に469床を用意したとしても、どんどん病床が埋まっていしまい、いずれ限界となります。
したがって、県民の皆さんに強くお願いしたいのは、今、県がステージ3相当で2月7日まで緊急対策を取っているということ。この窮状を御理解いただき、「他人事だ」、「自分は関係ない」、そういったことは思わないで、我が事として捉えて対応していただくことを切望しております。
【記者】
先ほど、宿泊療養施設に関し、その先も視野に入れているという発言がありました。郡山市で3施設目になりますが、これ以上の増設も考えているという解釈でよろしいでしょうか。
【知事】
まず、昨年途中までの(感染者が)過去最多だった10月の130名が、12月に455名、さらに、今月はまだ半ばでありますが、455名を優に上回っている状況です。
今月は、残念ながら相当厳しい感染状況になると思います。先ほど申し上げましたとおり、入院体制が極めて厳しく、特に即応病床に対する入院患者の比率が9割に迫るという勢いですので、先手先手で宿泊療養施設のキャパシティーをある程度準備しておかないと、更に感染が急拡大した際に、入院調整中、あるいは自宅療養の方が相当数出てしまう可能性があります。
そういったことを未然に防ぐという意味でも、福島市、いわき市、郡山市の3施設に加え、更なる追加も視野に入れて水面下での準備は進めてまいります。ただ、これらは感染状況によってもちろん変わり得ますので、あくまでも水面下での整理ということでございます。
【記者】
広島県が、広島市で大規模なPCR検査を行うという方針を出していますが、もちろんやるとなると、いろいろなことをあらかじめ決める必要があります。一方で、専門家の間で、こういった手法が有効であるという指摘もあり、非常に注目されると思います。感染拡大防止を超えた公衆衛生上の観点で、広くPCR検査を行うことに対する知事の考えをお聞かせください。
【知事】
東京都23区内のある区が、それに近い対応を昨年行っています。今回、広島県の一部の地域において、そういった対応がなされるということを報道等で拝見しております。これに対しては、専門家の間でも様々な見解が分かれていると私自身は考えております。
現在、福島県においては、感染者が発生した場合、その方の濃厚接触者、関係者を非常に広く捉えて対応することを行っております。周りに広がっていくのを早期に封じ込める対応を行っているところであり、懸命に現場の保健所や医療機関において作業していただいております。
一方、首都圏のある県においては、濃厚接触者を対象とした検査実施が中々難しいということを表明されております。
様々なやり方があろうかと思いますが、福島県においては、感染者の濃厚接触者、関係者を出来るだけ広く捉えて、クラスターとなる前に封じ込めていくという対応を力強く推進したいと思っております。
併せて大切なことは、県民の皆さんお一人お一人が感染しない、感染させないということに尽きると思います。今、特に三つのお願いをしております。「不要不急の外出をしない」、「マスクをして会話をする」、「普段一緒にいない方と食事をしない」。こういったことを行うだけでも、12月、1月の感染の原因の元を断つことは出来ます。したがって、こういったことを再三、県民の皆さんに訴えて、それを実行していただくことで、感染の急激な拡大を抑えて、徐々に抑制していく方向に持っていくことが出来るのではないかと思います。福島県としては、こういった点に力を注いでいきたいと考えております。
【記者】
先週、自民党県連から、いわゆる協力金の関係で知事に要請があり、知事は、「13道県で(国に)要請したい」、また「県独自でもやりたい」とおっしゃっていました。スケジュール感と、その意義について教えてください。
【知事】
福島県においても、新型コロナウイルスの急激な感染拡大によって、県内経済が深刻な打撃を受けている状況等に鑑みて、近く、国に対し、福島県単独の緊急要望活動を実施する方向で調整しています。また、緊急事態宣言の対象地域以外の道県においても、支援の拡充を求めるため、共同で要望活動を実施する予定であり、現在、高知県が取りまとめを行っておられます。高知県知事と私自身が、直接、話をしながら連携を進めております。この二つの要望については、調整が整い次第、お知らせしたいと考えておりますが、可能であれば、明日にも行いたいと考えております。
また、この要望については大事な側面を含んでおります。今回、緊急事態宣言ステージ4のエリアについては、時間短縮等の対象とならない業種の事業者に対しても、一定の支援金や協力金制度が、国によって直接用意される予定です。しかし、いわゆるステージ3のような緊急事態宣言以外の地域においても、先手を打って、11月、12月から(時短要請等を)やっておられる道県もあり、懸命な取組をしておりますが、(このような場合には)時短要請の対象外の事業者への協力金制度などが無く、広域自治体として全部自ら支給するということも中々難しい部分があり、苦慮しております。そういった仲間が、福島を含めて13あり、思いは一つであります。緊急事態宣言下になると、時短要請の対象となる飲食店の関連業者まで影響が広がりますので、それらに準ずる制度を、是非、国において作れないかということを訴えていきたいと思います。
特に、ステージ4になってから(対応する)よりは、ステージ3あるいはステージ3相当の段階で対応した方が、結果として、より早期に感染拡大を鎮静化させることが出来ると思います。また、地域経済の疲弊も、幾ばくか抑えることが出来るのではないかと、私自身は思っています。したがって、そういう意味でも、先行して頑張っている道や県に対する支援について、国、政府の幹部に、直接訴えていきたいと考えています。
【記者】
明日にでも国に対して要望していくという認識でよろしいでしょうか。
【知事】
私どもとしては、出来るだけ早く(要望を行いたい)と思っていますが、相手方があることであり、それぞれの日程があります。また、今日から国会開会中ですので、正に調整中です。決まり次第お知らせしますので、もう少し時間を頂ければと思います。
【記者】
現在、飲食店に対する協力金の対応をしていますが、先週末の自粛要請で県内の観光地等も本当に一変したような状況になっています。そういった他の業種に対する支援の必要性について、知事の考えを聞かせてください。
【知事】
現在、国としては、ステージ4の緊急事態宣言になったエリアについて、直接的な時短対象とはならない(飲食店以外の)業種に対しても、幅広く捉えられる制度構築を考えておられます。それがどこまで分野を広げるのか。そして、どういったレベルの支援を行うのか。これを注視をしているところです。
まず、骨格となるステージ4レベルの対応が固まった上で、ステージ4まで至っていない地域の道県に対して、並行しながら準じた対応を行って欲しいというのが、私どもの整理でありますので、まだ現時点で、ここまでと明確に仕切ることは出来ません。
ただ、ポイントは、今回、時短要請も行っておりますが、県民の外出自粛のお願いもしています。さらに、本県の場合、県民割だけは何とか守りたいということでやってきましたが、ステージ3相当になり、県民割の新規発行も止めるという事態になっております。
こうした状況下においては、(支援対象を)出来るだけ幅広く捉えていただきたいという思いがありますが、いずれにしてもステージ4(の支援内容)が決まらないと、私どもの整理が出来ないと思っておりますので、そういった点を注視しながら、13道県と連携して、しっかり対応していきたいと思います。
【記者】
感染拡大の影響で、アメリカのメディアが、東京五輪の開催について不確実性が増していると報道しておりますが、復興五輪という位置付けですので、知事の開催に対する思いと、現時点での開催の可能性についてどのように見てらっしゃるか教えてください。
【知事】
様々な報道を拝見しております。今回の東京オリンピック・パラリンピック、またその前段の聖火リレーは、福島県にとって復興五輪という位置付けもあり、グランドスタート、競技の先行開始等もあり、非常に重要な大会であります。現時点においては、組織委員会、政府あるいはIOC等と連携して着実に準備を進めていく、その思いに変わりはありません。
一方で、今、全力を傾けるべきは新型コロナウイルス感染症対策だと考えております。福島県内においては、ステージ3相当の緊急事態対策を県民の皆さんにお願いしている状況です。まずはその状況を一刻も早く抜けることが出来るように力を尽くすこと、また、全国においては、11の県がステージ4となり、緊急事態宣言地域となっておりますので、こういった状況をより良くし、安心して開催できる環境を整えることが最優先の課題だと考えております。福島県として、また全国で、感染防止対策に心を一つにして全力で取り組んでいくことが、何よりも重要だと考えております。
東京オリンピック・パラリンピックにも少し関連して、福島県にいらっしゃる外国人住民の方々への情報伝達について、新しい取組を行うので御紹介したいと思います。
外国人住民に対する情報発信は、これまで、県のホームページに外国人向けの情報を一つにまとめた専用のページを設け、多言語に対応した相談窓口や、国の情報サイトへのリンクを設置したほか、私からのメッセージを英訳して掲載し、注意を呼び掛けてきたところです。
また、昨年12月には、19の言語に対応する専用の電話相談窓口を開設し、受診・相談センターへの通訳支援を行うほか、学校や企業を個別に訪問し、現場の声を伺ってニーズを把握しながら、きめ細かに外国人住民への情報提供を行ってきました。
しかし、(外国人住民の)皆さんの中には、携帯電話やスマートフォンは持っておられるものの、電話回線を契約していない方が相当数おられ、電話で(相談)出来ないという状況があります。
そのため、LINE通話で相談出来るようにして欲しいとの要望が多かったことから、本日、1月18日から、LINE通話による相談窓口を開始しました。LINE通話を活用し、新型感染症に特化した多言語による通訳支援サービスを提供するのは、全国の自治体では初めてであると聞いております。引き続き、県内在住の外国人の方々に、きめ細かく情報が伝わるよう努力を重ねてまいります。
【記者】
報道各社の世論調査で、内閣の支持率がかなり下がっています。ある社の調査では、支持と不支持が逆転したという結果も出ており、要因としては、新型コロナ対応の不十分さを国民が感じているということも考えられますが、支持率の状況に対する知事の受け止めと、国会が始まりますが、国会でどのような論戦を期待しているのか教えてください。
【知事】
支持率についての様々な報道を拝見しております。やはり新型コロナウイルス感染症の問題が、日本国民全体にとって極めて重要な喫緊の課題ですので、それに対する国民の皆さんの思いは様々あろうかと思います。
政府に対して、私たち自身が常に全国知事会等も通じて訴えておりますのは、臨機応変な対応です。感染状況は日々刻々と変わります。例えば、まず首都圏の東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の4都県に緊急事態宣言が先般発令され、その後、7府県に拡充されました。こういった対応は、状況によって日々変わります。そういった点について、出来る限り迅速に対応していただくことが重要かと思います。
また、国会がいよいよスタートしますが、特措法の在り方が当面の大きな焦点になろうかと思います。これまで知事会を通じて私どもが特に訴えているのは、2点あります。
1点目は、各知事が様々な指示あるいはお願い等をしていますが、その実効性を高めて欲しいということです。
2点目は、いわゆる補償的な性格を持つ協力金の在り方について、より強固にしていただきたいということです。
こういった点について、国会において真剣な議論がなされ、早期に結論が出て、正に現在進行形である新型感染症の問題に知事あるいは各自治体が対応するため、早く使えるようになることを期待しております。
(終了)
【問合せ先】
○質問事項
1 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238
(時短営業協力金に関すること)
→商工労働部商工総務課 電話024-521-7270
(東京五輪の開催に関すること)
→オリンピック・パラリンピック推進室 電話024-521-8671
(外国人住民に対する情報伝達に関すること)
→生活環境部国際課 電話024-521-7182