【質問事項】
【記者】
緊急対策期間の延長を決定した(2月)4日以降、新規感染者数と病床使用率が日々減少しており、6日時点で50日ぶりに病床使用率が30%を下回りました。
先日、知事は、対策期間終了に向けて、ステージ3の中間値である37.5%を下回る状況が安定的に続くことが必要とおっしゃっていましたが、退院者数が新規感染者数を日々上回るといった現在の状況が続けば、14日で(緊急対策期間は)終了できると考えますか。
また、現在の県内の感染状況のステージの認識について、併せて伺います。
【知事】
まず、前半の御質問にお答えします。福島県内の新規感染者については、2月3日が9名、4日が9名、5日が7名、6日が3名、昨日7日が3名となっています。また、確保病床469床に対する利用率については、2月3日時点で38.2%でした。これ以降、4日時点で36.5%、5日時点で32.4%、6日時点で29.6%、直近の昨日7日時点で27.7%であり、継続した減少傾向にあると考えております。
新規感染者数は、緊急対策期間の開始時点と比べて低い水準で推移をしており、また、病床利用率についても、先週の臨時会見でお示ししたステージ3の目安とされている25%から50%の中間ラインである37.5%を下回る水準になっております。こうした状況が継続すれば、2月14日で(緊急対策期間を)終了することが可能であると考えております。
先ほど御指摘もありましたが、大切なことは、今の傾向がそのまま安定的に推移することです。新規感染者が極端に増えないこと、特に、クラスターが発生しないこと、そういった前提で、今後数日間の状況を丁寧に見極めていきたいと考えております。
後半の御質問であるステージの認識についてお答えします。感染状況を判断する指標について、病床のひっ迫具合を表す二つの指標である病床全体の利用率、重症者用病床の利用率がステージ3の目安を超えていることから、本日時点においても、引き続き、ステージ3相当にあると考えております。
【記者】
今日から(緊急対策期間の)延長期間に入りましたが、知事としては、この1週間をどういった位置付けで、どういったところに取り組んでいきたい、強化していきたいと考えていますか。
【知事】
1月13日から2月7日まで、第1次緊急対策期間ということで、県民の皆さん、事業者の皆さんに大変御負担をお掛けしております。この間の県民の皆さん、事業者の皆さんの御努力、御理解に対し、心から敬意と感謝の意を表したいと思います。皆さんの日々の取組のおかげで、先ほど具体的に数字をお示ししましたが、新規感染者数が大きく減少傾向にあり、また、病床のひっ迫率も少しずつではありますが、収まりつつあるという状況にあります。
ただ、全ての数値が良くなった訳ではありません。病床のひっ迫率に関する数値はステージ3のままであります。したがって、今日からのこの1週間は、第2次緊急対策期間として、様々なお願いを継続しておりますが、この期間においても、とにかく新規感染者数を増やさない、特に、クラスターを発生させないということが何よりも重要であります。
12月から1月にかけて、福島県、また、全国でも感染が急拡大しましたが、やはりマスクを外しての飲食(時の会話)が本質的な要因であると考えられます。したがって、そういった点について十分に留意していただいて、自分自身が新型感染症にかからない、そして、自分の周りの大切な皆さんにうつさないという意識で、この1週間、取り組んでいただければと思います。
【記者】
このままいけば14日で解除することも可能だということで、解除後の話について伺います。(感染症対策を)締めて、緩めてというのが続くと、緩めた14日以降にまた同じことが繰り返され、県民が疲れてしまうのではないかと思いますが、14日以降にどのような行動を求めるのか。また、14日以降の県の取組はどのようになるのか伺います。
【知事】
ただ今の御指摘について、私自身も同感であります。あくまでも仮定ではありますが、このまま順調に推移し、仮に緊急対策が終了したからといって、福島県内において感染が完全に無くなる訳ではありません。
御承知のとおり、全国の状況は、今なお10都府県において緊急事態宣言がなされており、また、海外から感染する可能性も一定程度あります。したがって、ウイズコロナの状況が14日以降も続きますので、気を緩めることがあってはならないと考えております。
仮に、緊急対策を終了し、その後また短期間の間に感染者が増えて、再び病床がひっ迫する状況になれば、県民の皆さん、事業者の皆さんに、新たな制約や制限をお願いする可能性もあります。したがって、安定して医療を提供できる体制の維持と、大きなダメージを負って、厳しい状況にある地域経済・社会の維持・再生、この両輪を同時に追い求めることができるようにしていくこと(が必要であり)、そのためには、「新しい生活様式」をお一人お一人、あるいはお店を始めとした事業者の皆さんに徹底して守っていただくこと、そして、それを継続していただくことが重要であります。
2月14日がゴールではなく、その先も新型感染症との長い闘いは続きます。ワクチンの議論もありますが、すぐにその先の目途が見えている訳ではありません。そこがゴールではなく、そこから継続して、「新しい生活様式」等の取組をお願いしていくことになると思います。仮に、今回の1週間延長で緊急対策をいったん終了することができる場合においても、県として、ポイントを絞った対策を検討していかなければならないと思っております。
特に、1月中旬から高齢者施設における感染が拡大し、その結果として、重症化し、亡くなられる方々が多いという現実があります。昨年末に西部病院の件もありましたが、病院や高齢者施設の中でのクラスター発生は、県内の感染状況に非常に大きなマイナス(の影響)となる現実が、ここ1か月、2か月でございました。こういった点について、仮に今回の緊急対策があと1週間で終了するにしても、より踏み込んだ施策が必要ではないかと考えておりますので、この1週間でその検討を精力的に進めていきたいと考えております。
【記者】
高齢者施設について伺います。田島ホームの件では、本来、濃厚接触者として、2週間の自宅待機というか、健康観察をしなければいけなかった職員も、人手が足りないということで、陰性の場合、(直ぐに)働かなければならないという非常に苛酷な状況があったと聞いています。
感染を抑制するという意味では、人員の措置なども極めて重要と思いますが、知事がおっしゃった「より踏み込んだ施策」というのは、そういった人手のケアのようなものも入っているのでしょうか。
【知事】
そういったものも含めていきたいと思っております。昨年、新型感染症の感染が第2波、第3波と拡大していく中、高齢者の施設は、人員がギリギリの状態で運営しておられるということもあり、そういった施設に対して、関係団体と連携して玉突きで人員を出していくシステム、スキームをつくりました。ただ、今回、それがタイミングよく発動されたかどうかというところも検証しながら、今後、高齢者施設で、仮にそういった兆候があった場合に、できるだけ早い段階で手当てをした方がクラスターの発生につながらないと思いますので、今後1週間で、是非、力を入れて取り組んでいきたいと思います。
【記者】
高齢者施設での重症化や死亡ということで、県内では死亡される方が特に多いのですが、そのことについての知事の受け止めをお願いします。
【知事】
福島県内において、残念ながら亡くなられる方が多いという現実がございます。亡くなった方が50数名おられますが、ほとんどが70代以上ということです。70代以上で、一定の既往症等を持っておられる方も相当数おられるかと思います。年代が高い方が新型感染症に罹患することによって、命を失うところまで行ってしまう確率が高いことを示しております。
こういった中で大事なことは、医療機関、高齢者施設などの機関において、クラスターを発生させないことです。併せて、高齢の方と一緒に生活している御家族の中には40代、50代、あるいは20代、10代などの若い方も当然いらっしゃると思いますが、家族全体で、自分の家族の中の高齢者を守るという意識を持っていただいて、家庭内における対策も出来る範囲で対応していただくということが重要かと思います。
そういった点も含めて、今後、注意喚起をしていく中で、亡くなる方をできる限り減らしていくことも、県として取り組んでいきたいと思います。
【記者】
緊急対策期間の解除の検討をされるスケジュール的なものについて教えてください。
【知事】
本部員会議で決定していくことになりますので、今週中にはお話をしたいと思っております。
ただ、先ほど申し上げましたとおり、見極めが大事であること、一方で、数字を見ていただきますと、いい方向に進んでいることが明確になっておりますので、こういった数字を日々示しながら、今後の新規感染者の状況や県内の病床のひっ迫状況を見て、今週中に本部員会議を開いて、お示しすることになろうかと思います。
できる限り早くというお気持ちも重々分かっております。一方で、今回、これまでとは違って、(ステージ3の)中間値である37.5%を安定的に下回るといった数値的なものもお示ししておりますので、日々それを見ていただきますと、大体の感覚は分かっていただけるのではないかと思います。
【記者】
今週木曜日が祝日なので、金曜日に(会議を)開催するという予定でよろしいでしょうか。
【知事】
現時点においては、明確には決まっておりません。
【記者】
ワクチンの接種体制等について伺います。各市でいろいろと発表されておりますが、人手が少ない町村に対する接種体制の支援など、現在の県の検討状況について教えてください。
【知事】
今、ワクチン接種チームの職員、各保健所、地方本部が、まず自治体等から寄せられた質問や要望に対応しております。さらに、課題の抽出や進捗状況の確認、マニュアル作成などの支援を行い、市町村のワクチン接種が円滑に実施されるよう進めているところです。
特に、モデルマニュアルというのが比較的分かりやすいかと思いますが、接種に当たる医師や看護師の体制、会場の確保、住民への案内などの各種手続や接種までの流れなどについて、福島県としてのワクチン接種モデルの作成に取り組んでいます。
国のワクチン接種モデルによる実証実験が先日、川崎市で行われておりますが、こういったものを参考にして、実施主体となる福島県内の市町村が地域の実情に沿った対応を図ることができるよう、引き続き、接種モデルの作成に取り組んでまいります。特に、市については、かなり精力的に議論を進めていただいているかと思いますが、町、村は、地域医療の状態等も相当異なります。面積や高齢者の方の数などの実情も異なりますので、地方振興局や各保健所、市町村長との連携も密にしながら、できる限りきめ細かい対応ができるように取り組んでいきたいと思います。
【記者】
間もなく震災から10年となりますが、災害の教訓を伝える上で重要な施設である伝承館が昨年9月にオープンしております。来館者の声を見ると、観光客からは「ためになった」、「知らないことがたくさんあった」といった感想がある一方で、本気で勉強しに来ている方からは「物足りない」、「結局何を伝えたいのか全く分からなかった」という声が多く上がっていて、教訓につながるような事実に対する踏み込み不足から、物足りなく感じさせているのかなと思いました。この点について、知事は今のところどのように認識されているのか伺います。
また、この施設に関しては、開館して終わりではないと繰り返し言われていて、それが希望なのかなと思っておりますが、今後、どのように管理していくのかという方針についてお聞かせください。
【知事】
東日本大震災・原子力災害伝承館においては、震災と原発事故によって、福島県がどのような被害を受けて、どのように対応し、復興の歩みを進めているのかといった事実と経験を後世に伝えていくことが重要だと考えています。
関連資料の展示を始め、事故対応の経験や記録を教訓として体系化し、様々な手法で情報発信をしていきます。また、復興や防災を担う人材の育成を図るため、専門家や学会等とも連携しながら、調査・研究事業に取り組んでいきます。
開館してから一定の期間が経ち、様々な御意見を頂いております。そういった意見を真摯に受け止め、展示内容の見直しやどういった手法がいいのか(検討し)、新型感染症の状況下ではありますが、おかげさまで教育旅行も、相当数の小学生、中学生、高校生に来ていただいておりますので、こういった方々への伝え方なども含めて、(展示の)やり方を徐々に変えていき、より皆さんの思いに合った伝承館にしていきたいと考えております。
【記者】
取材をしている中で、複数の方から「福島県が災害に対してまだ総括をしていない」という指摘がありました。非常に難しいというのは分かります。市町村や国にまたがっている対応があり、また、被害の全体像が確定してない、対応も終わっていないという中で、本当に今、(総括)できるのかとも思います。それは県がやるのかという話もあるのかもしれませんが、人類史に残るこれだけの災害の教訓を伝えていく上で、被害を受けた立場から俯瞰的に総括できるのは、福島県の他にないのかなとも感じますし、残念ながら、関係者の方で亡くなっている方もいらっしゃるので、それほど時間的な猶予はないとも思います。
今すぐにということではありませんが、こういった総括の必要性、また、県が主体となって取り組んでいくお考えがあるかどうかについてお聞かせください。
【知事】
頂いた御意見は真剣に受け止めさせていただきます。その上で、二つ視点があると思います。
一つ目は、東日本大震災・原子力災害伝承館は、これまでの10年間の様々な記録や記憶をきちんとアーカイブ、保存をして、後世あるいは国内外に伝えていく役割を持っておりますので、この伝承館が今後進化していくことによって、伝えていくということに、県として是非、取り組んでいきたいと思います。
もう一つ大切なことは、福島県の復興計画と総合計画であります。御承知のとおり、本来であれば、令和2年度が10年間という節目であり、令和3年度から切り替わることになっておりましたが、(新しい総合計画は)新型コロナウイルス感染症の影響で1年先送りした形になっております。
今、それぞれの審議会や委員会等で、精力的に議論を進めていただいておりますが、この中で10年間の総括を行い、その上で、県がこの10年間でできたこと、できなかったこと、あるいは不十分であったこと、それに対してこれから5年、10年でどういった施策を展開していくのかということについて、正に今、議論を深めているところであります。
そして、現在、特に新型感染症の影響が新たに追加されており、全体の体系も含めてどうするのかという議論をしておりますので、そういった中で、福島県がこれまで日本の歴史、あるいは世界の歴史にもない複合災害に見舞われ、どう対応してきて、今後どう対応していこうとしているのか、こういった部分についても組み込みながら、検討を深めていきたいと考えております。
(終了)
【問合せ先】
○質問事項
1 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238
2 東日本大震災・原子力災害伝承館について
→文化スポーツ局生涯学習課 電話024-521-7404