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知事記者会見 令和2年10月26日(月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年10月28日更新

知事定例記者会見

■日時 令和2年10月26日(月曜日)10時00分~10時20分
■会場 応接室

【質問事項】
1 トリチウム水の処分方法について 
2 新型コロナウイルス感染症について
3 飯舘村長の退任について
4 東日本大震災・原子力災害伝承館について

令和2年10月26日 福島県知事   動画を再生する

【質問事項】

1 トリチウム水の処分方法について

【記者】
 先週、トリチウム処理水について国から意見の集約がなされ、パブリックコメントの結果が出ました。およそ4,000件のうち半数以上が海洋放出に懸念を示すもので、風評、それから合意プロセスへの懸念も寄せられたようです。
 多くの方が懸念を持っていますが、知事の受け止めと、先週、知事がこの場で発言した、「国が何らかの対応方針をとれば、県としての意見を述べていく」ということに関連して、海洋放出に賛成または反対という両方の立場の方から、この問題に関する県の主体性に疑問の声が挙げられています。改めて、その方針に変わりはないのか、ないとすればその理由について教えてください。

【知事】
 先週の会合において報告された主な意見としては、処理水の安全性に対する懸念や風評の影響、復興の遅延、合意プロセスへの懸念が多くを占めていました。この結果は、処理水についての情報が十分伝わっていないことや、風評対策が具体的に示されていないことが主な要因であると考えております。国においては、これまで示された様々な意見や分析結果を踏まえ、慎重に対応方針を検討していただきたいと考えております。
 また、県としての意見表明ですが、これまで福島県は、国及び東京電力に対し、トリチウムに関する正確な情報発信と具体的な風評対策の提示にしっかり取り組むよう求めてきたところであります。特に風評の関係では、本県の農林水産業、観光業に対する影響を与えないよう訴えているところであります。
 国においては、様々な意見を十分に踏まえた上で、慎重に対応方針を検討していただきたいと考えております。

【記者】
 この問題に関連して、漁業者は海洋放出に反対と言っている一方で、タンクが立地する双葉町や大熊町は、処分方針を早く決めて欲しいと言っております。このままでは対立や分断が生まれかねない状況で、その調整は県しか出来ないのではないかと思っていますが、県として、そういった考えはないのでしょうか。

【知事】
 ただ今のお話は、御意見として受け止めさせていただきます。
 その上で、改めて県としての基本的なスタンスを述べさせていただきます。トリチウムを含む処理水の取扱いについては、県内外で開催された関係者からの意見を伺う場において、風評に対する懸念などの様々な意見が出されているとともに、福島第一原発の立地町からは、保管継続による復興や住民帰還への影響を危惧する意見が示されています。処理水の取扱いに当たって最も重要なことは「風評」です。国においては、様々な意見や県内の実情を十分踏まえた上で、特に本県の農林水産業や観光業に影響を与えることがないよう、慎重に対応方針を検討していただきたいと考えております。

【記者】
 意見として伺うということですが、この対立しかねない状況をどう捉えているかについて、教えていただけますか。

【知事】
 この原発事故に伴う廃炉・汚染水対策、あるいは、これまで中間貯蔵施設の問題、仮置場設置の問題、こういった問題の全てが一つの解をシンプルに出すことが出来ない難しい問題であるということを、この9年半余りで経験しております。
 そういう状況の中で、当事者である国と東京電力が、責任を持って、この問題にしっかり取り組んでいただきたいと考えております。

【記者】
 知事は、処理水の問題について、国に農林水産業や観光業に影響を与えないように求めてきたと思いますが、現在のパブコメなどの結果を見ても、やはり影響は生まれかねない状況です。このような状況の中で、処理水の処分方針決定の延期自体を求める考えはありますか。

【知事】
 延期というお話ですが、そもそも、まだ政府において具体的な日時を決定している状況にはないと思います。その上で、先ほどの繰り返しになってしまいますが、このトリチウムを含む処理水の取扱いについては、様々な意見があります。特に風評に対する懸念が多くを占めているというのが、私どもの受け止めです。
 こういう状況の中で、国自身が、様々な意見や福島県内の実情を十分に踏まえた上で、風評の影響を最もダイレクトに受ける業態である本県の農林水産業、観光業に影響を与えることがないよう、慎重に対応方針を検討していただきたいと考えております。

【記者】
 2022年にはタンクが一杯になるという東電の試算から逆算して、今年度中に(方針を)決めるという話だったと思いますが、現在も方針が決まっていないことについての受け止めをお伺いします。

【知事】
 汚染水対策の問題は、既に足かけ6年ほど議論をしております。原発の敷地には一定の限界があり、タンクで保管し続けることは難しいことから、この議論がスタートしたと考えております。
 そういう状況の中で、様々なプロセスを経て、政府自身が慎重に対応方針を検討しているものと考えております。

【記者】
 処理水の関連で、今、知事から「風評が重要な問題だ」とありましたが、一言に「風評」と言っても、風評を起こさないための対策と、実際に風評が起きてしまった後の賠償などの対策があると思います。順番としては、まずトリチウムに関する理解を深め、風評を起こさないという対策が重要だと考えますが、知事がこれまで政府に求めている風評対策は、どちらに重点を置いたものなのか教えてください。

【知事】
 今、お話があった2点とも、風評対策としては重要な要素だと思います。個人的な感覚で言いますと、両方とも大切だと思います。
 一番は、どんな対応方針であれ、新たな風評を起こさないことが基本であるため、それを主軸として、力を尽くして欲しいという思いもあります。併せて、仮にそのような対応を行ったとしても、風評や実害が出ることもあり得ますので、そういった場合にどうするのかという視点も重要だと思います。
 県としては、これまで幾度も、政府に対してこの風評の問題を訴えてまいりました。今後、政府として一定の方向性が出てくると思いますが、その内容を見ながら、県として言うべきことを申し上げていきたいと考えております。

【記者】
 処理水については、政府が責任を持って決めると言っています。今後どういった場で決めるかは分かりませんが、首相が何らかの発信をすることも必要であると思います。知事はどのように考えますか。

【知事】
 今回の原発の廃炉・汚染水対策は、日本の最重要政策の一つであると思います。総理自身も、そういった強いお気持ちを持っておられると思います。現時点では、最終的な方針を決めたという段階にはないと思います。今後、政府としてどういった形で方向性を定めるのか、どういった形でそれを訴えていくのか注視してまいります。

【記者】
 首相が何らかの発信をするべきだと知事は考えますか。

【知事】
 経済産業省、また政府として、今回の重要な問題に対し、どういった発信をされるのかについて、しっかり見極めていきたいと考えております。

【記者】
 トリチウム水の問題については、一つの答えをシンプルに出せない難しい問題だとおっしゃいました。そういう問題だからこそ、国と東電だけではなく、県も汗をかくべきという考え方と、そういう問題だからこそ、解決のために動く主体は限定して責任を持たせ、国と東電に責任を集中させて決めさせるべきだという考えがあると思いますが、知事はどちらの考えですか。

【知事】
 ただ今、お話のあった内容については、御意見として受け止めさせていただきます。
 これまで県として、この処理水を含む東電の廃炉・汚染水対策について、様々な観点から幾度も意見を申し上げております。例えば、廃炉安全監視協議会、廃炉・汚染水対策福島評議会など、いろいろな場面があります。その中で、専門家の意見、県職員の意見、また私自身も、政府や東京電力に対して、処理水の案件について臨んで欲しいことを申し上げてきました。
 したがって、県としては、今まで全く何も言わずにきたということではないと考えております。先週、整理された御意見を拝見しておりますが、私どもがこれまで政府に対して申し上げてきた内容が、相当盛り込まれていると受け止めているところです。今後、国、東京電力が当事者として、福島県を含めた様々な意見を真摯に受け止めて、慎重に対応していただきたいと考えております。

 新型コロナウイルス感染症について

【記者】
 政府の新型コロナウイルス分科会において、年末年始の休暇を延長するよう求める提言が出されております。県内のこれまでの感染を見ても、長期休暇の後に感染者が増えるという状況があったと思いますが、今年の年末年始に関して、知事が考えていることがあれば教えてください。

【知事】
 先週23日に開催された新型コロナウイルス感染症対策分科会において、政府に対し、年末年始の休暇延長についての提言がなされたところであります。提言内容については、人の流れの分散につながるものであり、インフルエンザ流行期における対策の一つとして有効と考えられることから、今後、政府と連携して対応していきたいと考えております。
 また、今回の分科会において、感染リスクが高まる、重要な「5つの場面」が示されました。現在、福島県は、特に厳しい感染状況にありますが、県民の皆さんに知っていただきたいことであるため、少し話をさせてください。政府の分科会の提言においては、感染リスクが高まる「5つの場面」を挙げ、「感染リスクを下げながら会食を楽しむ工夫」が示されました。感染リスクが高まる場面として、1つ目は「飲酒を伴う懇親会等」、2つ目は「大人数や長時間におよぶ飲食」、3つ目は「マスクなしでの会話」、4つ目は寮などの「狭い空間での共同生活」、5つ目は仕事での休憩時間に入った時などの「居場所の切り替わり」であります。
 こうした場面において、ある程度の時間、マスクを外して近い距離で会話をすることは、感染リスクが高くなりやすいと指摘されています。年末年始においては、この「5つの場面」が増えてくると思います。10月、11月、12月、1月は、インフルエンザとの関係でも非常に重要な期間になると思いますので、今回の分科会における「5つの場面」の提言について、県民、事業者の皆さんに訴えていきたいと考えています。

3 飯舘村長の退任について

【記者】
 飯舘村の菅野村長が、本日退任されます。原発事故からの復興を一緒に歩まれてきましたが、知事の思いについて教えてください。

【知事】
 菅野村長とは、私自身が部長、副知事時代、そして知事の期間を通して、共に飯舘村、また相双地域の振興について意見を交わしてきました。
 菅野村長の趣味は、写真、カメラですが、私と仕事で一緒になったり、対談をする時も、御自身が写真を撮られまして、それを後から届けていただくということがよくあり、これまで村長からたくさんの写真を頂きました。まだ私自身が30代の頃からの写真の思い出が、菅野村長とこれまで共に歩んできた歴史だと思います。
 皆さんが御承知のとおり、菅野村長は、例えば「までいライフ」、あるいは、「おだがいさまの精神」など、人と人とが助け合い、支え合うことが重要であるということを、常々理念として訴えてこられました。私もそういった考えに非常に深く共鳴しており、自分自身も、菅野村長の思いを県政の中に取り入れてここまで歩んできたのではないかと思い起こしております。
 今回、村長が勇退されることは残念な部分もあります。これまで、原発事故の前後を通じて、自分自身の持つ政策の基本理念をしっかりと形にしてこられたことに、心から敬意と感謝の意を表したいと思います。
 また、先日お会いした時には、「これからも飯舘村民として、地域の元気に向かって力になりたい」というお話をされていました。今後とも御健康で御活躍されることを祈念しております。

【記者】
 菅野村長の復興の進め方について、知事としてはどう感じていますか。

【知事】
 原発事故の対応については、各地域によって状況が異なります。例えば、双葉郡や相双地方、中通りにも一部、避難地域がありますが、それぞれ状況は異なります。そして、住民の皆さんの受け止め方も異なるというのが現実です。したがって、全ての施策において、市町村長の思いが必ずしも一つにはならなかったという部分もあると思います。
 そういった中で、飯舘村は、例えば計画的避難区域を始めとする菅野村長自身の独自の哲学や、政府との交渉、プロセスを経て、避難の形を作られました。歴史的な評価は様々ありますが、それぞれの自治体のリーダーが、置かれた状況の中で懸命に対応されてきたものと考えております。

4 東日本大震災・原子力災害伝承館について

【記者】
 先日、伝承館の資料選定委員会の議事録が公開されましたが、その中で、委員からの「公文書については廃棄されることがないようにきちんと保管して欲しい」といった意見の記録がありました。委員会で言われているにもかかわらず、一部の自治体では(公文書が)廃棄されております。先日の会見で知事は、「県としての方針はこのままではいけないと思う」とおっしゃっていましたが、公文書の保存に関するその後の検討状況はいかがでしょうか。

【知事】
 伝承館と関連した公文書の取扱いについては、先日お答えした時から状況は変わっておりません。大事なことは、震災、原発事故直後の資料は重要な内容を含んでおりますので、県としては、まず保存するという方向性で整理をしております。その考え方について、各市町村に対し、こういった取扱いは大事であるというアドバイスをさせていただいているところです。まず、県自身が今後どういった対応をするかについて、検討を進めているという状況です。

 (終了)

【問合せ先】                               

○質問事項
1 トリチウム水の処分方法について
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252

2 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238

3 飯舘村長の退任について
(飯舘村の復興に関すること)
→避難地域復興局避難地域復興課 電話024-521-8434

4 東日本大震災・原子力災害伝承館について
→文化スポーツ局生涯学習課 電話024-521-7404