【質問事項】
【記者】
新型コロナの対応について、県内の感染状況は、三つの指標がステージ4になるなど急速に悪化していることから、中核市3市へのまん延防止等重点措置の適用を政府に要請する考えがあるのか伺います。また、まん延防止等重点措置の適用申請を全県対象に拡大する考えがあるのか併せて伺います。
【知事】
まず、今の御質問にお答えする前に、全国及び県内の状況をお話しします。全国においては新規感染者数の増加が続いており、7月31日には過去最多の1万2,000人を超える感染者が確認されるなど、急激な感染拡大が止まらない状況にあります。特に、東京都では、緊急事態宣言以降も過去の宣言時に比べて人流が減少せず、新規感染者数が初めて4,000人を超えるなど感染拡大が続いています。
福島県においても、新規陽性者数が7月27日から30日まで4日間連続して80人を超えるなど、これまでに経験したことのないスピードで感染拡大が続いています。この状況において、今の本県の感染の五つの指標、七つの区分を見ていきます。病床の使用率は72.2%で、これはこの後公表する数値を含めての数値です。この72.2%ですが、入院調整中の方を含めると89.9%と、ほぼ90%に達するという極めて厳しい状況にあります。入院率も下がっており、重症者用病床の使用率が22.4%とステージ3、そして10万人当たりの療養者数が34.83人でステージ4、そして、10万人当たりの新規陽性者数が28.66人でステージ4という状況にあります。現在、ステージ4の指標が三つ、ステージ3が一つという状態ですので、直近一週間における現時点での県全体のステージ判断は、ステージ3相当であると考えています。
特に(今の)ポイントは、急速に(状況が)悪化しているというところです。先週、先々週の数値と比べると、病床の使用率は、先々週は29.6%、先週は35.3%でしたが、今日は72.2%ですので、1週間で倍近く使用率が上がっています。入院率は、先々週は89.6%と約9割の方が入院できる状況でしたが、現時点においては55.7%と、半分程度の方しか入院できていないというのが実情です。重症者用の病床も14.3%から22.4%と悪化しています。療養者数については、先々週は8.88人、先週も13.06人で、いずれもステージ2以下でしたが、1週間であっという間にステージ3を超えて、ステージ4の34.83人と急激に悪化しています。また、PCRの陽性率ですが、先々週は1.5%で、先週は3.6%、今週は4.5%と、検査件数も非常に増えていますが、その中でも陽性率が上がっています。また、10万人当たりの新規陽性者数は、先々週は5.36人でしたが、先週が9.80人で、今週は28.66人と、これも急速に悪化しています。また、感染経路不明割合も、ほぼ5割近い水準が続いているという状況です。
こういった急激な悪化については、5月に非常事態宣言を出しており、その時もステージ3相当という話をしています。その時と指標上は似た形になっているものの、あの時は徐々に悪化していく感じでしたが、今回は1週間でこれだけ急激に悪化しているというところが、第4波の時の状況と今回の第5波の状況の大きな差です。
これは、東京を始めとする首都圏あるいは北関東地域における急速な感染者数の悪化と、その底流にあるデルタ株、L452Rに急速に置き換わりが進んでいることによるものと捉えています。
特に、こういった急速な感染悪化のベースは中核市の3市です。福島市、郡山市、いわき市の「10万人当たりの1週間の新規陽性者数」がこのように大きく悪化しております。福島市は、ここ4日間ほどは、ほぼ横ばいで踏みとどまっており、29.64(人となっています)。郡山市は、先行して悪くなりましたが、集中対策を出したのが先月の下旬でしたので、そこから一定程度の効果が見られ、現時点では少し下がったという状況です。ただ、福島市も郡山市もステージ4の水準にあることには変わりありません。
そして、一番懸念をしているのがいわき市です。いわき市は、他の2市に比べると、ここ(7月24日)まで、まだ非常に落ちついた状況でした。そこから急速に悪化して、郡山や福島のような横ばい、あるいは若干下がるという傾向が全く見られないまま、56.43人にまで上がっています。こういう状況の中で、いわき地区においては、病床使用率が現在91.8%と、ほぼ満床に近い状況になっていますので、今回、このいわき市を始めとした中核市3市の状況というものを最も心配しています。
次に、御質問を頂いた、まん延防止等重点措置ですが、現在、福島県内の各種指標の急速な悪化傾向、特にいわき市における急激な感染者数の増加といったものを勘案する中で、政府に対してまん延防止等重点措置の適用を申請することを前提に、精力的に政府との調整を進めてまいります。
また、全県についての御質問についても、政府と一定程度の議論は行っていきますが、ポイントは市町村別の陽性者数の割合です。7月全体で言うと、郡山、いわき、福島が7割近くと、当然ながらウエイトが高く、特に、この1週間がポイントです。7月の1か月で927名ですが、この1週間で506人と、全体の927名のうちの半数以上が、この1週間に集中しています。さらに、この506人の中のいわき、郡山、福島市の中核市のウエイトは79.6%と、約8割です。したがって、この3市をしっかりと抑え込んでいくことが重要だと考えており、当面はこの3市に県の集中対策を実施してまいります。この効果を見極めるとともに、一方で、いわき市は大きく感染拡大が進んでいますので、今後、まん延防止等重点措置を早期に適用していただけるように、政府に対してしっかり協議を行っていくことが軸になると考えています。
ただし、仮にこの3市以外の市町村において、先ほど申し上げたような急激な感染拡大が同様に起きた場合、特に10万人当たりの1週間の新規陽性者数が拡大する自治体が出てきた場合には、当然ながら県独自の集中対策、あるいはまん延防止の適応を視野に入れるということはあり得ますが、まだ現時点では、そこまでの自治体はないかと思います。
先ほど申し上げたとおり、まずはこの1週間で約8割を占めている中核市の急激な感染拡大をどうやって食い止めるかということに全精力を集中してまいります。
【記者】
新型コロナウイルス感染症について、中核市、特にいわき市等で増えている理由の分析ですが、例えば観光地が賑わってきて、人が多くなっているという見立てなのか、あるいは、県民の行動として出掛けてしまっている人が増えているのか、その辺りについての見立てを伺います。
【知事】
まず、底流にあるのは、冒頭にお話ししたとおり、東京を始め、首都圏の感染者数の増加であり、福島県レベルではなく、ものすごい勢いで増加しています。
したがって、首都圏、あるいは北関東においても、今、本県と同様にまん延防止等重点措置を視野に入れながら対応せざるを得ないという状況になっています。福島県は首都圏、北関東と地続きであって、直接影響を受けやすいというところが、まずベース、根底にあると思います。
その上で、福島県の中核市3市の状況を分析すると、まず、クラスターです。クラスターが先月1か月で25件、これは第4波の時を超えて月別で過去最多、しかもこの25件中の18件が飲食店由来です。
飲食店由来ということは、やはり県民の皆さんが、そういったお店、特に接待を伴う飲食店等に行って、結果として感染されているという傾向が極めて顕著になっています。
また、今、中核市の保健所で様々な分析をされていますが、福島の方が東京に行って、結果として感染されている事例、あるいは東京圏の方が福島に来て結果として感染させたのではないかという事例も様々見受けられています。
やはり、マスクを外してある程度の時間、様々な意見を交わすという状況がリスクが高いということは、県民、国民の皆さん十分御承知だと思いますが、この1か月を見る限りにおいては、そういった場所において、感染が急拡大しているという現実があります。
繰り返しになりますが、皆さんにしっかり頭に入れておいていただきたいことは、この第5波のベースは、L452R、デルタ株です。このL452Rは、感染力が高い、入院リスクが高い、ワクチンの効果を弱めるといった特性を持っていますので、今までと同じ行動様式をとっていれば大丈夫だろうということではなく、L452Rが、首都圏、北関東、福島、東北もそうですが、全国に猛威を振るっているこの状況を頭に置いて、より慎重な行動をとっていただくことが重要だと考えています。
【記者】
まん延防止等重点措置適用の関係ですが、その時期について、例えば今週中にはといった辺りが言えるのかということと、前回の適用時には、「協議を進めるのも重要だけれども、申請をすることが政府側から求められていた」というようなこともあるかと思いますが、(今回は)あくまでその協議を進めるということなのか、今週中にも申請をしたいということなのか、そこについて改めて伺います。
【知事】
前回、会津若松市への適用について政府と協議していた時は、我々はそれまでの他県の事例を見て、事前協議を行い、整った上で申請をするというのが一般的な手続だと認識していました。
ところが、結果を見てみると、私自身が西村大臣と一度協議を行いましたが、それが「申請だった」ということについて、1週間ぐらい後に話があって、あれが申請だったのかと驚いたことがありました。
したがって、政府サイドの申請の受け止め方というものが、最近の各県の状況を見ていても、申請を明らかに行っている自治体もありますし、申請していないのに、先週末、政府からまん延防止等重点措置を突然通告されているという自治体もありますので、率直に言って、ここはちょっと行政手続が非常に臨機応変といいますか、ばらつきがあるなと私自身は受け止めています。
先ほど申し上げたとおり、本県における各種指標が急速に悪くなっており、特にいわき市は歯止めがかからずに、ずっと急上昇しているという状況にありますので、まん延防止等重点措置の申請を福島県独自で早期に行っていくつもりで協議を行います。もちろん政府との調整を行って、協議が整えば、それはそれで結構ですが、仮に前回のように一定の時間がかかるというような感じであれば、政府の御判断は、それはそれとして、一方で、福島は福島ということで申請をするということも考えています。
ただ、まだ週明けであり、今正に精力的に(対策を)始めているところなので、その状況を見て考えますが、必ずしも前回のように、協議が整った上で申請するという選択肢だけではないという思いが心の中にはあります。
【記者】
まん延防止等重点措置について、申請に向けた政府との協議ですが、いわき市を先行して協議を行うのか、それとも福島、郡山も含めた、3市を一斉にその対象に加えるような形での協議を行うのかについて伺います。
【知事】
大切なことは、いわき市、福島市、郡山市は全て中核市であり、保健所機能も中核市として自ら担っていただいておりますので、この3市の市長さんたちの御判断をしっかり伺いながら、県として対応していくことが重要だと考えています。
先ほど、いわき市の話を特に強調しました。これは当然、数値上も明らかに(他の)2市と傾向が違うということもありますが、私自身、先週末の金曜日に3人の市長と直接ウェブで会談を行いました。その会談の前にも、実際に電話でもクローズでお話をしていますが、その際にも、いわき市長さんは、早期のまん延防止等重点措置の適用を強く望んでおられました。オンライン会談を見てもお分かりになったのではないかと思います。
一方、福島市、郡山市においては、県の集中対策、独自措置というものを踏まえて、自分たちでしっかり頑張っていきたい、その状況を見て場合によっては臨機応変にということを言っておられます。
したがって、この週末の状況も含めて、今後、私自身、この3市の市長さんとお話をしていくつもりですが、おそらくいわき市さんは、早期適用を言ってこられるだろうと思います。また、郡山市、福島市は、先週の金曜日の段階では、ちょっと状況が異なっており、かつ保健所が一人一人の患者の疫学調査を行っています。実は、そういった傾向も3市で全部違いますので、そういったものをリアルに伺いながら、例えば、まず当面いわき市を先行してのまん延防止等重点措置申請もあると思いますし、あるいは他の2市も一緒にやりたいということであればもちろんそれもありますし、こういった形で、3市の意向というものを尊重しながら、県として対応していきたいと考えています。
【記者】
オリンピック、バドミントン競技で渡辺・東野ペアが銅メダルを取りました。
知事コメントも出されていましたが、県としては双葉地区教育構想を立ち上げて15年が経って、遂にオリンピックのメダリストが誕生したということだと思います。
途中、あの震災で途絶えかけたこともありましたけれども、この構想の成果について、どう受け止めているかということも含めて、知事の受け止めを伺います。
【知事】
今回の東京オリンピックのバドミントン競技の混合ダブルスにおいて、渡辺・東野組が銅メダルを獲得されました。県民を代表して、心からお祝いを申し上げます。
私自身、双葉地区教育構想には、当時、企画調整部長として、スタート時点から関わっており、当事者として本当に感無量の思いです。
また、今回の東京大会には、双葉地区教育構想、富岡高校に関わる皆さんが数多く出場されています。サッカーにおいては4名、またバドミントンにおいて3名、計7名の皆さんが、この双葉地区教育構想によって福島の地で育成されました。こういう状況の中で、東京大会で躍動していただいたことを本当にうれしく思います。
双葉地区教育構想は平成16年に議論を始めて、平成18年から富岡高校を改組し、JFAアカデミー福島がスタートする中で、特にサッカーとバドミントンとゴルフ、これをスポーツ上の重点種目として、育成をしてまいりました。こういった、全国の、特に公立の学校では例のない試みを行う中で、正に日本、世界で通用する人材が輩出されていることをうれしく思います。
特に私自身が非常にうれしく感じているのは、参加されている選手の皆さんが、「福島が第二のふるさとだ」、「福島に恩返しをしたい」と発言されていることです。特に、今回の東京大会に出ている選手の皆さんは、平成23年3月の東日本大震災と原発事故を当事者として直接経験し、その後、双葉郡に戻ることができずに、例えばバドミントンのメンバーであれば猪苗代町であったり、JFAアカデミーの皆さんは静岡県(に拠点を移し)、こういった形で非常に特殊な境遇の中で努力をしてこられました。
そういった方々が、福島に対するふるさととしての思いや、恩返しをしたいという思い、あるいは、富岡高校のスピリッツを富岡魂と呼んでいますが、富岡魂を胸に、それぞれが精一杯、ベストを尽くしてくれたということが、今後、福島の若者たちにすばらしいレガシーとなるものと考えています。
特にふたば未来学園高校、あるいは県内の他の公立高校等も含めて、スポーツを頑張っている皆さんが、東京大会での福島県ゆかりのあるいは福島県出身選手の活躍を見て、「よし、自分も頑張ろう」、「日本でのトップレベル、あるいはオリンピックを目指そう」という思いを必ず心に抱いてくれていると思います。
今後とも、この双葉地区教育構想、少し形は変わってきていますが、ふたば未来学園、あるいは県全体のスポーツの振興にこれからもつなげていきたいと考えています。
【記者】
新型コロナウイルス感染症について、東京の1日当たりの新規感染者数が初めて4,000人を超えたり、福島県で80人を超える(新規)感染者が4日連続で出たりということがあった中で、改めて、東京五輪であづま球場を無観客開催にした判断についての知事としての考えについて伺います。
また、「復興五輪」については形が変わってしまったということで、大会後、コロナが落ち着いてからいろんな活動をしたいということを発言されていましたが、具体的にどのような発信をしていきたいのか、今の知事の考えを併せて伺います。
【知事】
まず、前半の御質問について、福島県の場合、7月10日に、苦渋の決断でしたが、その当時、南相馬市等の急激な感染悪化の状況等を勘案して、結果的に完全無観客という要請を行い、組織委員会から了承を受けました。
今、結果論で振り返りますと、やはりこの選択肢以外なかったと考えております。ただ、復興五輪の重要な中核を占めるあづま球場での野球・ソフトボール競技において、無観客という形でしたが、7試合、骨格をしっかり保ちながら開催できたことは、一つの形として、良かったという思いも同時に心の中にはあります。
そしてこの復興五輪全体を振り返って、先週もいろいろ具体的なお話をしましたが、来ていただいた方々からも非常に様々な評価、(例えば)桃ですとか、福島の美しく穏やかな自然環境に対する好意的な印象を世界に向けて発信をしていただきました。あるいは組織委員会、政府、東京都、IOCも、様々な配慮を復興五輪に対してしていただいて、一定の形をつくることができました。
ただ、県民の皆さん、都市ボランティアの皆さん、あるいは旅館やホテル、観光の皆さん、そして私自身もそうですが、復興五輪に対する不完全燃焼の思いがあります。復興五輪の一番の本質は、先週もお話ししましたが、海外からの方がたくさん実際にローマ字のFUKUSHIMAの地に来ていただいて、自分自身が2011年以降持っていたローマ字のFUKUSHIMAに対する固定観念を、いい意味でプラスにひっくり返していただくことが復興五輪の一番の本質だと考えています。ただ、今回それを担っていただいたのが本当に一部の方々、監督ですとか、選手の皆さんだけということでしたので、やはり、これを今後将来的に、海外の方をいろんな機会に多く呼び込んで、その上で、福島のこの不完全燃焼の復興五輪の思い、あるいは様々な風評が、残念ながら今回の大会を通じても一部発信されていますので、「それは違う」、「間違っている」、「福島は食については安全・安心なんだ」、「観光に来ていただいても本当に皆さんが楽しめるんだ」という機会を必ずつくっていきたいと考えています。
ただ、今はまだ新型感染症がこういう状況ですので、あくまでも、新型コロナウイルス感染症の影響が収まった後ですが、第2期復興・創生期間の一つの中軸として、インバウンドの観光客を増やす、また、全国からのお客様を増やす、そして我々が不完全燃焼だった思いを是非国内外に発信していくためにも、やはり観光に力を入れていきたいと思います。
実は今日も国土交通大臣とやりとりをしており、落ちついたら福島にお客さんをたくさん呼び込もうという話をしているところですが、この点について、今後また全力を尽くしていきたいと考えています。
(終了)
【問合せ先】
○質問事項
1 新型コロナウイルス感染症について
→新型コロナウイルス感染症対策本部(保健福祉部地域医療課) 電話024-521-7238
2 東京オリンピック・パラリンピックについて
→文化スポーツ局オリンピック・パラリンピック推進室 電話024-521-8671
(双葉地区教育構想(スポーツに関すること)について)
→文化スポーツ局スポーツ課 電話024-521-7795